[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国立研究機構(ANR)
元記事公開日:
2013/06/26
抄訳記事公開日:
2013/07/26

ANR、2014年行動計画を提示

Plan d'action 2014 - présentation

本文:

国立研究機構(ANR)はこのほどそのWebサイト上で標記行動計画文書を公表している。行動計画を構成する4つの要素について述べた部分を中心に本文書の概要を以下に記す。

本文書は2013年7月末に開催されるANR特別理事会に提示されるもので、ANRが提示する行動および資金支援手段の全容を極力簡潔に説明している。ANRの2014年行動計画は、現

行のプログラム策定文書およびプロジェクト公募規定の両方に代わるものである。行動計画では事前に開示されるテーマ別の主要な研究領域を定め、さまざまな実行手段やプ

ロジェクトの評価方式について記述する。2014年行動計画は戦略計画「France-Europe 2020」で定められた枠組みに全面的に組み込まれる。

[行動計画を構成する4項目]

行動計画は「France-Europe 2020」計画と一貫性のある次の4項目の要素で構成され、特別な予算措置の対象とされている。

・基盤研究および比較的達成度の高い研究を含む社会的重要課題
・研究の最前線に関する構成要素
・欧州研究圏(ERA)の構築とフランスの国際的求心力
・産業および競争力に対する研究のインパクトに関する構成要素

以下に上記各項目の概要を記す。

1) 社会的重要課題

社会的重要課題に関する構成要素は戦略的研究計画に盛られた9項目の社会的重要課題に関するものである。
・資源の節制管理および気候変動への適応
・クリーンで安全かつ効率的なエネルギー
・産業再生
・医療および福祉
・食糧安全保障と人口問題
・人口移動と持続可能な都市システム
・情報・通信社会
・革新型・統合型・順応型社会
・欧州の市民・住民の自由と安全保障

「社会的課題」の構成要素は基礎研究から企業との提携研究など応用目的研究に至るまで広範囲に開かれている。社会的課題がカバーする研究領域には、これまで現行の自由

テーマプログラムおよびテーマ別プログラムがカバーした研究課題が一本化して組み入れられることになる。「社会的課題」の構成要素は単独の公募の対象とされ、特に各研

究連盟やCNRSが重点課題と表明したもののほか、産業界、競争力拠点、他省庁が示した重点課題が取り込まれる。

課題に関する公募の枠組みにおいて提示される実行手段には次のものがある。
・個別または協働プロジェクト
・少なくとも1企業が参加する官民提携によるプロジェクト
・研究ネットワーク: 研究界の多くが期待する新たな実行手段である。フランスおよび欧州の研究当事者の連携を図り、多様な関係者(団体、自治体、産業界など)の取り込み

を可能にすることで、特に新興領域や高度に学際化した領域に関わる研究コミュニティを組織化する狙いがある。
・若手研究者のプロジェクト: 博士号取得後の専門的経験が10年を超えていない若手研究者が担うプロジェクトである。
・「チャレンジ」: 目標(ロボット・コンクール、材料分野における成果など)に関わる創造性を喚起する狙いがある。特定の公募や研究指針策定委員会が認めた問題に限った

手続きの対象となる。

2) 研究の最前線

本構成要素には1)の重要課題とは関係のない研究を支援する狙いがある。すなわち数学、物理学、基礎化学、地球・宇宙の科学、基礎生物学および一部の人文社会科学のテー

マに関する基礎研究が対象である。特に研究リスクの高い基礎研究プロジェクトや、間接的な方法も含めて結び付けが不可能なプロジェクト、過去に課題の一つに挙げられた

ことのあるプロジェクトを助成することが目的である。

3) ERAの構築とフランスの国際的求心力

本構成要素は分野横断的で、1)および2)とも関係がある。欧州や外国の機関と提携した国際的活動の支援を目的とする。これにはフランスの国際的求心力を強化する狙いを持

った特定の実行手段もいくつか含まれる。地理的戦略的見通しを引き出す目的の調整機関として国際的行動指針策定委員会が設置される。

・ERA-NETおよび共同プログラム策定(JPI)
ANRの欧州協力策は、基本的にERA-NET型または共同プログラム(JPI)型活動の一環として、各資金支援機関や研究担当省と連携して策定される。各種のERA-NETやJPIへのANRの

参加は社会的課題に対応して検討され、国際的行動指針策定委員会で議論される。ERA-NETやJPI活動への参加方式に変更はないが、特定プロジェクト公募の対象となる。
ANRはまたG8研究枠組みや「ベルモント・フォーラム」のようなよりグローバルな環境下で、世界規模の多国間活動にも参加している。このような活動もまた特定プロジェクト

公募の対象になる。
・2国間協力
ANRはまた欧州の相手機関(独、英、オーストリア、スイス、ノルウェーなど)や国際的相手機関(米、カナダ、中国、日本、インド、ブラジル等)と2国間さらには多国間の協力

関係を有している。人文社会科学においてDFGとの連携による仏独年次公募は継続される。これまで自由テーマプログラムで支援されていた2国間協力は新しい選考手続きと一

貫性を保つようにされる。
・国際的求心力に関する実行手段
フランスの国際的求心力を高め、高い潜在能力を持った若手やシニアの優秀な研究者を引き寄せるための特定プログラムが提案されている。「ポスドク帰還」プログラムや「

高等講座」プログラムを進化させたものである。

4) 産業および競争力に対する研究のインパクト

公的研究成果の経済界への移転促進はANRの任務の一つである。「社会的課題」構成要素において資金支援を受ける主要な実行手段の一つである企業との提携プロジェクトを補

完する形で、ANRはプロジェクトに対する研究界の多様な行動様式の下での研究室・企業間の協力活性化を目的とした一連の実行手段を用意している。この分野横断的な構成要

素では次の3つの施策を一まとめにする。

・LabComプログラム: 研究室と中堅・中小企業との間の協力や技術移転の増進を目的とした時流に沿った選択により2013年に実施された。
・「産業講座」プログラムは、3年前から実施されている。このような講座の運用において民間基金からの投資を刺激することのできる講座の導入を展開する狙いがある。その

位置づけ(受益者の性格、既存の措置との相互補完性)と方式(競争入札など)に変更が加えられることになる。
・Carnotプログラム

[DW編集局+JSTパリ事務所]