[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
エネルギー省(DOE)
元記事公開日:
2013/08/12
抄訳記事公開日:
2013/09/20

大統領経済諮問委員会、災害時における電力確保に関する報告書発表

White House Council of Economic Advisers and Energy Department Release New Report on Resiliency of Electric Grid During Natural Disasters

本文:

大統領経済諮問委員会(CEA)とエネルギー省(DOE)は8月12日、全米の送電網を自然災害から守るための戦略をまとめた報告書を発表した。報告書「電力供給停止時における送電網復元力強化による経済合意性」では、停電による経済への影響と異常気象による停電の頻度について述べている。また、2003年から2012年の電力供給停止を次のように分析している。

・自然災害による停電で、米経済は年間18億ドルから33億ドルの被害を被っている。
・この間、679回の停電が起き、毎回5万人の消費者が影響を受けている。送電網の老朽化により、被害が起きやすくなっている。
・2012年、米国は11億ドルの自然災害被害を被った。
・1980年以降、米国では1億ドル以上の気候災害被害が144回も発生しており、最も被害が大きかった10の台風のうち、7回は2004年から2012年の間に発生した。

今後、官民が協力して送電網への投資を進め、停電を防止するために最新式のものに切り替えるための戦略がまとめられた。災害による被害を特定し、緩和させるための分析やエネルギー会社と協力してインフラの強化を実施すること、システム全体の安定性を強化すること、また、最新技術を導入し停電時に自動代替供給を実施するなど、6つの提案が挙げられている。

提案1:危機管理…台風やハリケーンなどの規模や被害予測を事前に行い、停電時の復旧活動を速やかに行う手段を整える。
提案2:費用対効果…災害に対する耐久性を高めるため、費用対効果のある改善手法を導入する。送電線の地中化以外にも、基地局を浸水被害から守る工夫などを検討する。
提案3:システムの柔軟性と構造安定性…送電網を増強し、送配電に余剰電力を増やすことで、停電に対してより柔軟に対応する。蓄電設備の強化やマイクログリッドの設計を進めることで、停電時の自己回復機能を高める。
提案4:被害状況の可視化…スマートメーターの活用などにより、停電被害の状況をより早く、正確に把握することで復旧対応を速やかに進める。また、シンクロフェイザー技術を導入することで忠実度、レスポンスの高い送電網の把握を実現させる。
提案5:最新型管理装置の配置…災害時に送配電の停止やルート変更を可能にするフィードスイッチを導入する。送電状況の可視化と合わせ、停電の被害を最小限に抑えることが可能となる。
提案6:機器保護のためのセンサーやソフトウェア導入…変圧器など重要機器を災害被害から守るため、センサーやデータ分析ソフトウェアを導入し災害時に回線切り替えを行うなどの保護対策を実施する。

大統領の気候変動行動計画においても、信頼性のある電力の供給と、再生可能エネルギーの促進のため大規模な送電網の改善が提案されている。最新型グリッドの導入に対しては45億ドルの予算がDOEによって確保されており、今後も安定した電力供給確保のためのインフラ整備が進められる予定。

[DW編集局]