[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
フランス技術アカデミー
元記事公開日:
2013/08/20
抄訳記事公開日:
2013/10/01

未来の乗り物

Le Véhicule du Futur

本文:

技術アカデミーの2013年8月20日標記報告書に関する報道発表文書からその結論部分の概要を以下に抜粋する。

自動車産業は技術や経済の発展に不可欠な産業である。欧州にとって、特にフランスにとっては、国の予算に直接的・間接的に大きな寄与をしているからである。

フランスにおける自動車生産の黄金時代は過ぎて、主要な市場がアジアや新興諸国に見られるというのは紛れもない事実である。他の成熟産業と同様に自動車界には量よりも価値の創造を優先させるという制約があり、フランス本土での生産手段を保持するための転換には根源的なものがあり、現状の問題点は見通しの不十分さと実行に時間がかかり過ぎていることに起因する。

本報告書では、未来の乗り物が現在我々が使用しているものは大きく異なることは確かで、それは単に電気で動く(広い意味で)からだけではなく、その利用方法が100年前と比べると劇的に変わるからであることを明らかにしている。

より柔軟な使用の目的で「所有」のモデルが後退することはほとんど確実で、そのこと自体がメーカにとっての課題である。それを確認するには購入品とレンタル品の差、特定の車とTGVの席との差を計れば十分である。

このような変化はまだ目には見えないが準備はされている。しかしその実現に必要な大型投資は2008年の経済危機の結果行われていない。おそらく地理的に小さな国が研究室のアイデアを出してくると考えられる。デンマーク、イスラエルなどである。

電気自動車はより長い走行距離や多目的利用に向けて急速に進化する。その場合現在の車とは異なるインフラストラクチャとの結合や統合という新たな機能を提供する。運転者は「泡」のような自分の殻から抜け出して、新しい形態の「モビリティ」社会ネットワーク「V2V(車から車へ)」に同一平面上で参入していく。隣人とコミュニケーションをとるのであるが、その安全や誘導には目的地に到達するまでインテリジェント輸送システムが関与する。運転の楽しみは会話の楽しみと大きな違いはなくなる。

熱機関の車は特定の区域を超えて地理的拡大(インフラ構築の困難な区域)を続ける。少なくとも研究開発、製品設計、デザインのチームの大半が依然としてフランス本土にいるとすれば、自動車システムがこのような変化を追随・先取りする能力はまだ手がつけられていないと考えられる。特定の製品を新しい顧客に近い場所で設計・生産するというのは妥当なことではあるが、自動車を介して特定の「暮らしや移動の技術」を輸出することが目標であれば、そのような創造的活動が国内に残ることは望ましいことである。このような目標の達成やフランス本土の自動車と中国や韓国で生産される自動車との差別化には、創造や発明の努力こそが重要である。

バッテリーではその充電やリサイクルにインフラや複雑なロジスティックスが必要になる。その開発には電気自動車の「システム」構想が不可欠である。自動車業界ではエネルギー業界やロジスティックス業界とのより緊密な作業が必要となる。同じことが輸送サービスの提供者との相互関係にも存在する。

[DW編集局+JSTパリ事務所]