[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州共同体研究開発情報サービス(CORDIS)
元記事公開日:
2013/08/21
抄訳記事公開日:
2013/08/31

水産養殖の持続可能性を評価

Assessing the sustainability of aquaculture production

本文:

欧州共同体研究開発情報サービス(CORDIS)の2013年8月21日付のニュースで、標記の記事が掲載されている。以下にその概要をまとめる。
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人口や富の増加、食習慣の変化などにより、世界の海産物消費量は過去10年の間に劇的に増加した。現在では多くの人が、海産物は肉に代わる健康的な食品だと考えている。EUは単一地域としては世界最大の輸入者であり、その輸入品の多くはアジアで生産されている。

EUが資金提供するSEAT(Sustainable Trade in Ethical Aquaculture「倫理的な水産養殖における持続可能な取引」)プロジェクトは、アジア産の新たな水産食品の食物連鎖について知見を深め、その持続可能性を探るものである。このプロジェクトには、欧州とアジアの研究者に加え、バングラデシュや中国、タイ、ベトナムの小規模企業の利害関係者が参加しており、欧州の店舗やレストランで最も多く取り扱われている4つの水産養殖品(テラピア、パンガシウス(ナマズ目)、小エビ、クルマエビ)を調査対象としている。

調査チームは、上記の4カ国でのインタビューやフォーカスグループ(定性的研究)を通じて、それぞれの水産物の価値連鎖の全体像を把握することから活動を開始した。この取り組みは、調査を行った各国の現場における生産・加工プロセス、ならびに生産増の制限に対する現地の意見を明らかにする上で役立った。またこの作業により、チームは重要な利害関係者グループを特定することができた。

次のステップでは、餌の生産(ブラジルの大豆、アメリカのトウモロコシなど)から消費者による食品廃棄物の処理に至る、水産養殖品が消費者の手に渡るまでのすべてのプロセスのライフ・サイクル評価が行われた。ライフ・サイクルの分析は、価値連鎖の中で問題のある部分を明らかにするのに役立った。

分析結果から得られた統計データからは、一部のプロセスが他のプロセスよりも持続可能性が高い理由を明確に読み取ることができる。SEATプロジェクトによる評価は、この種の評価としては、その対象範囲と詳細さという点でこれまでにない試みであると言えよう。

SEATプロジェクトは、2013年11月に終了する予定である。この研究は、アジアにおける水産養殖を確実に持続可能なものにする上で役立つはずであり、科学、ビジネス、産業および政策における欧州とアジアの結びつきをより強化することにもつながるものとなろう。

[JSTパリ事務所]