[本文]

国・地域名:
スイス
元記事の言語:
英語
公開機関:
スイス国立科学財団(SNSF)
元記事公開日:
2013/09/24
抄訳記事公開日:
2013/10/17

カフェインの摂取が脳の発達を遅らせる

Caffeine consumption slows down brain development

本文:

スイス国立科学財団(SNSF)の2013年9月24日付のニュースで、標記の記事が掲載されている。以下にその概要をまとめる。
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ヒトおよび他の哺乳動物は思春期に特有の深い睡眠パターンを示すが、脳はこの時期に最も急速に成熟する。だが、ヒトの思春期に該当する発育段階のラットにカフェインを投与すると脳の成熟プロセスが遅くなる。これは、スイス国立科学財団(SNSF)の支援を受けて行われた研究結果である。

児童と若年成人のカフェインの平均消費量は、過去30年間に70%以上増加しており、飲料産業ではカフェイン入り栄養ドリンクの売上が最も急速な伸びを続けていることからしても、この増加傾向に歯止めがかかる兆しは見られない。一部の人々は、こうした滋養強壮剤が児童/青少年の健康に与える影響を懸念している。

チューリッヒ大学付属小児科病院のレト・ユベール(Reto Huber)教授が率いる研究チームは現在、この問題に新たな議論を提起している。彼らが最近発表したラットを使った研究結果は、大変興味深い。ヒトの場合の1日3~4杯分のコーヒーに相当するカフェインを思春期のげっ歯類動物に与えると、深い睡眠が減少し、脳の発達が遅くなることがその研究で示されたからである。

脳は思春期に繊細な成熟段階に達する。この時期には多くの精神病が発症する可能性がある。ラットの脳は明らかにヒトの脳とは異なるが、両者に共通する脳の発達プロセスを考慮すると、児童と若年成人のカフェイン摂取ははたして本当に無害なのか、滋養強壮剤の消費は控える方が賢明でないか、といった疑問が生じる。ユベール教授は「この分野は今後も研究が必要である」と語っている。

[JSTパリ事務所]