[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国立宇宙研究センター(CNES)
元記事公開日:
2013/09/27
抄訳記事公開日:
2013/11/06

欧州研究の新たな目標

Un nouvel horizon pour la recherche européenne

本文:

国立科学研究センター(CNRS)が発行する「CNRSジャーナル No.274」(2013年9~10月)掲載の標記記事の概要は以下のとおり。

18ヶ月に及ぶ精力的な話し合いを経て、EU加盟国の代表は第7次研究開発枠組プログラムの後継プロジェクトとして新規の研究・技術開発枠組プログラム「Horizon 2020」についてこの7月に合意に至った。これには大きく3つの柱がある。科学的卓越性、産業上の優先課題、社会的課題の3つである。本プログラムの公式開始日は2014年1月1日であるが、第1次プロジェクト公募は2013年12月半ばから始まる。

予算の制約という縛りを受けているので、欧州の研究資金支援獲得が各国の戦略的課題になっている。ここ2年間公募プロジェクトへの参加率が憂慮すべくほどに落ち込んでいるフランスでは尚更である。

予算総額702億ユーロの「Horizon 2020」は「インテリジェントで持続可能かつ包括的な」成長を目指すEUのグローバル戦略における選択の一つである。長期的な目標の基盤として「科学的卓越性」が新規欧州プログラムの第1の柱である。そのために個別の研究に資金を割り当てる欧州研究会議に対する予算が倍増している。「Horizon 2020」では従来の研究開発枠組プログラムに加えてヨーロッパ原子力共同体(Euratom)、イノベーション・競争力に関する枠組プログラム、欧州イノベーション・技術研究機構を組み入れている。したがって「Horizon 2020」の第2の柱の中心には実験的な開発から初期の商業利用に至るまでのイノベーションの支援がある。特にマイクロ・ナノエレクトロニクス、産業用バイオ技術、フォトニクスなどの重要汎用技術に関するものである。「Horizon 2020」の第3の柱では研究およびイノベーションに対して社会的ニーズに対処する役割を課している。つまり欧州は気候変動、人口増加、新エネルギーなど社会・経済的な主要課題に対処するための学際的なプロジェクトを期待している。「問題解決型」に基礎を置く新規プログラムのこのような構成こそが従来の枠組プログラムと真に異なる点である。

「Horizon 2020」の策定段階においてCNRSは、卓越性が重要なこと、新規プログラムでは学際的アプローチが必要なことを強く主張した。また社会的課題の検討に当たっては人文社会科学や数学の役割を十分考慮に入れるべく主張した。同時に手続き簡素化の努力についても強く主張していたが、その結果資金配賦までの期間が短縮され、独自のコストモデルが導入されることになった。

[DW編集局+JSTパリ事務所]