[本文]

国・地域名:
オランダ
元記事の言語:
英語
公開機関:
オランダ科学研究機構(NWO)
元記事公開日:
2013/10/23
抄訳記事公開日:
2013/11/19

オープンアクセス―書籍の売上には影響を与えず

Publishing in Open Access increases usage and has no effect on book sales

本文:

オランダ科学研究機構(NWO)の2013年10月23日付のニュースで、標記の記事が掲載されている。以下にその概要をまとめる。
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オープンアクセス出版は書籍の売上には悪影響を及ぼさず、オンラインでの利用とディスカバリ(資源発見)を拡大させている。これは、オランダにおける学術書のオープンアクセス出版について調査したプロジェクト「OAPEN-NL」が出した結論の一つである。昨日発表されたOAPEN-NLの最終報告書には、研究への資金提供者、図書館、出版社および論文著者への提言が記されている。

オランダ科学研究機構(NOW)の助成によりオープンアクセス出版された学術書は、計50点にのぼる。比較のため、出版社はオープンアクセス出版された各タイトルを、従来の出版方法でも提供している。調査では、オープンアクセスで出版しても、書籍の売上には何ら影響を与えないことが示された。従って、刊行物がオープンアクセスで利用できるようになると、書籍の売上が減少するのではないかとの出版社の懸念には、根拠がなかったことになる。その一方で、オープンアクセス出版された書籍のオンラインでの利用率は、これらの書籍をオンライン上で発見する機会と同様に大幅に増加した。だが、オンラインでの利用率は増加したものの、これが引用数の増加に繋がったかどうか、また今後繋がるかどうかは、今回の調査期間中には確認されなかった。

最終報告書には、学術出版に携わるすべての利害関係者を対象とした、学術書のオープンアクセス環境改善のための数々の提言が記されている。このOAPEN-NLの調査報告書は、OAPENの最終セミナー「オランダにおける学術書のオープンアクセス(Open Access for academic books in the Netherlands)」で発表されている。

OAPEN-NLは学術書の出版に伴うコストについて理解するため、50点の書籍すべてに関するデータの収集も行った。この調査によれば、オランダで1点の学術書を出版する場合の平均コストは、12,000ユーロだという。オープンアクセス版の場合、このコストはほぼ半分になる。つまり残りのコストは、紙媒体でモノグラフを印刷し、流通させるためのものである。以上の結果は、オランダでオープンアクセス出版されるモノグラフに資金を提供する際に重要な意味を持つ。

[JSTパリ事務所]