[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
研究・イノベーション総局
元記事公開日:
2014/01/24
抄訳記事公開日:
2014/03/10

スーパーバグと闘うための耐性遺伝子研究プロジェクト

Getting a step ahead of the superbugs

本文:

欧州委員会は、2014年1月24日に標題のプロジェクト紹介記事を発表した。以下に概要を紹介する。

もし怪我をしたり、感染症にかかったり、これから手術する場合、リスクとして想定されるのは、抗生物質も効かない超強力な細菌(スーパーバグ)の感染リスクだ。スーパーバグの抗菌薬耐性はしばしばただならぬこととして話題にされるが、スーパーバグの進化や増殖の仕方についてはまだよく知られていない。EvoTARプロジェクトは、これらの重要な問いに答えることを狙いとしている。

医師は、通常、患者の抗菌薬耐性を調べるために、面倒な臨床検査をする。これは時間がかかる窮屈な作業だが、EvoTARは最新鋭の遺伝学的技術でこれに取って代わろうとしている。その技術で、ヒトの身体の最も重要な耐性菌の宝庫である腸の抵抗力を測定することが可能となる。そのために、EvoTARは幅広い種類の耐性菌を追跡する次世代順序付け法を採用している。 

本プロジェクトの重要な目的は、DNA塩基配列法によって患者の耐性菌の「カタログ」(一覧表)を作る手続きを確立することだ。患者の抗菌薬耐性のカタログは、ある特定の環境(この場合は、ヒトの消化管)に存在するすべての耐性遺伝子のガイドになるような大きなデータを築き上げる。この情報を使って、科学者はバクテリアとバクテリアによって運ばれる耐性遺伝子を染色体上に位置づけることができ、患者が病院で治療を受ける前に観察し、入院中に起こる変化を見定め、その後半年間の治療中に起こりうる変化をチェックすることができる。医師が一定期間にわたる最適治療を患者に提供しようとすると、こうした情報を知ることが重要である。

EvoTARには沢山の側面があるが、中心的課題は、耐性遺伝子の起源と流れを明らかにし、バクテリアが拡散する法則を究明することだ。本プロジェクトは、バクテリアの拡散を制御し耐性問題と闘う方法を見いだすための重要な足がかりである。耐性に打ち勝つように薬物治療を調整し、感染症を予防する方法を開発するため、EvoTARの成果の上に今後の研究が進められていくだろう。

<プロジェクトの詳細>
・ プロジェクト名:EVOTAR
・ 参加国:オランダ(コーディネーター)、スペイン、フランス、デンマーク、英国、スウェーデン、イタリア
・ 総費用:約1,600万ユーロ(うち、EU拠出額:約1,200万ユーロ)
・ 期間:2011年10月−2015年9月

[DW編集局]