[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
フラウンホーファー協会 システム・イノベーション研究所(ISI)
元記事公開日:
2014/03/12
抄訳記事公開日:
2014/04/16

水資源:大いなる挑戦と今後の著しい需要増

Zukünftiger Umgang mit wertvoller Ressource Wasser: große Herausforderungen und erheblicher Nachholbedarf

本文:

フラウンホーファー研究所ISIの研究チームは連邦議会のテクノロジーアセスメント室(TAB)からの委託により世界の水市場に関する調査を作成した。これに関してISIは概略以下のような報道発表を行った。

国連の提唱で毎年3月22日は「世界水の日」となっている。その目的は、生命の基盤である水の重要性に注目し、水資源の保護と持続的利用を訴えることである。持続性のある衛生的な水の供給に対する需要は増していくだろう。ドイツでも人口変動、気候変動が起こっている中で、水関連インフラの改善や微小有害物質への対応が大きな重要課題となっている。ISIは、水に関連した社会基盤の整備、さらにはドイツ企業の水市場におけるイノベーション力に関する調査を多く手掛けている。

ISIの研究チームはTABからの委託により、水産業の領域における世界のイノベーション力に関する調査で、工業国と途上国の需要課題の他、水に関する技術におけるイノベーション体制について分析し、このほど「持続的水経済の重要課題」と題する調査を終了した。

ISIの調査のリーダーであるヒレンブランド博士は調査結果から、重要な点を下記の通りまとめた。
・増加する水の需要、気候変動によって多くの地域で見られる水の減少、水質の異常な悪化によって新しい、より優れた水技術が必要とされている。
・現在のところ、この市場はドイツの貿易収支の大きな支えとなっている。
・とはいえ最近、この領域における特許や論文に占めるドイツの割合は大きく後退している。中長期的にドイツ企業の国際競争力が後退し、貿易的にも減少していくのでは、と危惧している
・研究成果を速やかに移転し市場で実用化しなければならない。

途上国には特有の課題や需要があり、それぞれの国が状況に応じた対応を取るなどして需要が変化している。さらに中国、インド、ブラジルなどは、水の供給量を大きく拡大し、新しい市場の需要に備えることができるようになってきている。

同調査は、このためドイツにおいて水技術におけるイノベーション力強化が必要である、としている。「学界と産業界の十分なネットワーク化が重要であり、環境政策と研究助成イニシアチブの最適な組み合わせが必要である。例えば投資促進に関するプログラムにおいて、確固としたイノベーション刺激策を包含すべきである」とも語っている。忘れてならないのは水技術の国際競争力を、継続して支援することである。

[DW編集局]