[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
フランス科学アカデミー
元記事公開日:
2014/03/17
抄訳記事公開日:
2014/05/01

遺伝子組み換え植物に関する研究の自由回復を要望する

Les Académies demandent de restaurer la liberté de la recherche sur les plantes génétiquement modifiées

本文:

フランス科学アカデミーの2014年3月17日標記報道発表の概要は以下のとおり。

遺伝子組み換え植物は15年以上前から市場に出回っていること、地球上のかなりの面積で栽培されていること、その一方で研究室からは新たな世代の遺伝子組み換え植物が出現している状況が見られることを考慮に入れて、農学、科学、技術の3アカデミーは2013年11月19日のフォーラムでの結論に従い、遺伝子組み換え植物に関する科学的総括を行い、その将来展望を描くべく、共同で検討を行った。その検討結果は次のとおりである。

次の2項目は事実として理解しておく必要がある。

・フランスの農業従事者は遺伝子組み換え植物由来の穀粒を、従来の種子由来の穀粒と同じ条件で、農場に蒔く種子として利用可能である(2004年12月8日バイオ技術上の発明に関する法)
・遺伝子組み換え操作を施した耕作、従来の耕作、バイオ関連の耕作は法的に共存可能である(2008年6月25日法)

その上でアカデミーは次のことにあらためて言及する。

・公的研究は実験等により万人に役立つ専門能力を保持し発展させる必要がある。
・遺伝子組み換え植物は農業の将来に関する唯一の解決策ではない。急激に増加する世界人口を賄うために、持続可能で生産性が高く環境にも配慮した農業にとっては、他の手段と共に活用に供する一つの手段である。
・現在出回っている中の一部の遺伝子組み換え植物の普及には、環境への影響に特別の注意を払う必要のあるものがある。生物要因(昆虫などの生物、雑草)に対する耐性には特に注意を要する。これについては実際の利用に際して農業従事者への研修などを条件とする必要がある。
・遺伝子組み換え植物の利用は、費用対効果対リスク型の方法で許可を与える前に、様々な社会的、環境的、経済的な状況を考慮に入れた検証をケース・バイ・ケースで行う必要がある。
・市場への投入に関しては非常に厳格な欧州規制により、その効力と長期にわたる無害性を検査することが可能である。

上記議論を前進させるべく、3アカデミーは遺伝子組み換え植物に関する科学上、農学上の問題が客観的基盤に基づいて理解が深まることを要望する。それは、既存の規制を適用した上での野外での長期にわたる実験など、研究や試験を実施する自由を回復することを意味する。

[DW編集局+JSTパリ事務所]