[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国立情報科学・自動化研究所(INRIA)
元記事公開日:
2014/03/27
抄訳記事公開日:
2014/05/12

INRIAが中小企業に対してやっていること

Que fait Inria pour les PME ?

本文:

国立情報科学・自動化研究所(INRIA)の2014年3月27日標記報道発表の概要は以下のとおり。

中小企業向けの技術移転支援の目的で、INRIAは企業支援・イノベーション振興機構(BPI France: 旧OSEO)などと戦略的提携関係を結ぶと同時に、各種手段・サービスの共通基盤を設けている。INRIAの中小企業支援策についてINRIA技術移転・イノベーション部長が次のように解説している。

[INRIAの戦略における中小企業の位置づけ]

企業への技術移転は公的研究の成果を企業の製品やサービスに取り込むことである。これに関するINRIAの重点課題は、中堅・中小企業の成長を技術移転によって支援することである。その理由は知識経済における中小企業の役割の現状に由る。このような企業は電子情報分野においてイノベーションの推進役を果たしており、その機敏さにおいてこれら企業の豊富な商品提供を狙った技術移転のとりわけ効率的な媒介者である。

[INRIAが中小企業に提供するもの]

INRIAが中小企業に提供するものは2つある。第1は当然のことながらINRIA研究チームの研究能力とソフトウェア技術の提供である。また万一の場合は、このようなノウハウや技術を特定して取り込むことが可能な明確なプロセスと個別のフォローアップを提供する。まず最初は中小企業に対してその産業分野に適した提案を行う。
技術移転に関するこのような分野ごとの担当者がプロセスの全期に渡って企業を支援する。すなわち契約締結、企業の要求内容の共同での取りまとめとINRIAの提供内容の提示、必要な専門能力の特定などであり、場合によっては技術ロードマップと資金支援計画を伴う技術移転プロジェクトの実施がある。
これらはまた技術移転の促進・加速を狙った仕組みに基づいており、既存の公共の仕組みのほかINRIAが特に中小企業向けに用意しているINRIA内部の仕組みがある。

[中小企業向け技術移転支援の手段]

INRIAはまず我々が重要と考える2つの公的な仕組みに大きく依存している。その1つが「競争力拠点」であり、企業と公的研究実行機関との間のネットワークによる交流の維持に活力ある枠組を提供している。これには公的研究機関の提供内容と技術移転に関する中小企業の要求との出会いを円滑にする狙いがある。もう1つは「研究費税額控除」であり、企業にとってのコストの壁を目に見えて小さくすることで、目的に合った好都合な枠組を提供する強力で管理された手段である。

しかしINRIAはまた技術移転の様々な鎖の輪において固有の手段を配置している。上流側では、INRIAが実施する研究に関して各企業の関心に沿ってより分かりやすく解説する出版物「CONNECT」、協働利用できるWeb共通基盤、豊富な技術デモンストレーション・イベントプログラムなどを提供している。次に重要なことは企業のニーズに合わせて技術を適用し、関連する専門能力を企業に移転する能力である。これは技術熟成のための共同プロジェクトの形をとり、一般的には専任の技術的人的資源を必要とする。INRIAの中小企業プログラムでは、契約管理であっても資金支援やプロジェクト管理であっても、このような相手先に対してはアドホックな枠組を提供している。このタイプの提携で一体化が最も進んだものが、INRIAと中小企業間の「共同研究室」である「INRIAイノベーション・ラボラトリー」であり、企業の戦略的技術製品化を狙った2~3年間にわたるロードマップを共有する。

[DW編集局+JSTパリ事務所]