[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
高等教育・研究省(MESR)
元記事公開日:
2014/04/09
抄訳記事公開日:
2014/05/19

国家研究戦略: 作業部会シンポジウムにおけるブノア・アモン大臣の講演

Stratégie nationale de recherche : ouverture du colloque de restitution des ateliers

本文:

高等教育・研究省の2014年4月9日標記報道発表によると、2014年4月9~10日開催されたシンポジウム「国家研究戦略のための科学・技術重点項目」でブノア・アモン国民教育・高等教育・研究大臣が講演し概略以下のように述べている。このシンポジウムには科学界、大学界のメンバーなど300名以上が参加した。

[基礎研究の重要性]

(プログラムできないので)プログラムされていない、自由で豊かな基礎研究がきわめて重要であること。それは正に「政策決定者や行政が念頭においておくべきこと」と私が考えていることである。「人は蝋燭を改良しようとして電気を発明したのではない」とよく言われるが、私はそれを確信している。基礎研究の支援と擁護は前提条件であり、計画化しようとするいかなる試みも免除されるべきである。研究の第1の目的は国際的にもトップレベルの知の前進にあり、それには画期的な概念に到達可能な思考方法の進化が役に立つ。

[基礎研究は社会による一部の研究の方向付けを妨げるものではない]

しかしながらこのような知は我々の現代社会を築き上げてきた概念や技術の発展を可能にした。それは明らかに研究者の目的ではなかったが、それでも歴とした成果である。したがって我々の社会が、問題解決の支援、明日の世界の新たな輪郭の想像や生成の助けとして、これからも研究に注目するのはきわめて自然なことである。それは時折耳にする不安を超えた進歩への信頼と期待の証であり、これ以上理に適ったものはない。プログラムできない研究の支援に加えて、公的研究を市民のニーズ、期待、不安に応えるべく役立てることは妥当なことである。資金を負担しているのは市民である。イノベーションや民間研究も同じく社会に貢献する必要がある。

国家研究戦略の策定は社会が研究に参加することの呼びかけであり、我々の各々の日常における研究活動の重要性、社会の繁栄における研究活動の重要な役割を政策決定者や企業の担当者、管理者が十分認識出来るようにする目的を持っている。そのためには公的研究と民間研究との間の協力関係を確保する必要があり、研究側と経済・社会側の当事者との間の知識移転を円滑にする必要がある。

[研究予算の聖域化]

フランスの予算は2年前から極めて深刻な状況にあり、高等教育・研究でも一部配賦の見込みの立たないものが出た。前政権もフィオラゾ大臣も絶えずそのような状況の正常化努力をしてきた。その結果依然として500億ユーロの予算支出を我々は認めることになった。さらにこのような不利な条件下にありながらオランド大統領は公的研究予算の聖域化の取り組みに言及した。2015年の予算審議の開始を前に、これこそ信頼と強力な実行確認の証である。

しかし支出努力や信頼があると言うことは、責任があると言うことでもある。困難な予算状況下での責任と言うのは、当然のことながら研究の重点項目選択の妥当性を納税者の前で証明できるようにすることである。

[研究は一つの協力活動である]

研究においては、数年間制度上の競争を経た後は、協力の文化による分担関係を結んで再開するのがよいと考える。研究はその卓越性において優れた資質を有する個々人の集団的活動である。研究者間の出会い、提携、協働を容易にする機構やプロセスの推進に努力したい。

[DW編集局+JSTパリ事務所]