[本文]

国・地域名:
中国
元記事の言語:
中国語
公開機関:
中国科学報
元記事公開日:
2014/07/17
抄訳記事公開日:
2014/08/21

科学研究に従事したい高校生、3割しかいない

中国高中生想从事科研工作的仅占三成

本文:

2014年07月17日付の「中国科学報」ネット版は、科学研究に従事したい中国の高校生が3割しかいないと報じた。本記事ではその概要をまとめる。

青少年の科学、科学研究に対する積極性の低下は、既に看過することのできない社会問題となっている。このほど、中国青少年研究センターは、「少年・児童の科学夢を守る」をテーマとする専門家座談会を開催した。専門家は座談会で、関連課題チームが2013年10月から12月にかけて展開した2つの調査――「小中学生の科学への関心度調査で発見した5つの問題」、「中米日韓の高校生の科学技術に関する意識調査の比較研究報告」をめぐって討論を展開した。

調査によると、科学に興味がある生徒が中国の小中学生全体の89%を占め、高校生になってからこの数字は82%に減少するが、依然として米・日・韓三国を大きく上回っているという。しかし、中国の生徒は興味と仕事との関連度が高くない。調査によると、将来科学研究に従事したい高校生は全体の僅か32.3%に過ぎず、米国と韓国を大きく下回った。

この30年余りで高考状元(*)が選んだ専攻に関する調査から見れば、これらの優等生はキャリアを考える場合、興味より功利的な目的(給料、社会地位等)をもっと重要視する傾向を有する。1977年から2013年までの資料によると、経済学を選ぶ状元が288人と最も多く、MBA(経営管理学)を選ぶ状元が283人と2位とのこと。

科学に好奇心を持つ多くの子供が学校に入って、如何なる原因で研究に対する興味が段々なくなるのであろうか。専門家は、多くの子供が科学のことをはるか遠い夢のように思い、科学者だけが科学を愛する資格があると思い込んでいるとの考えを示した。

また、教育のシステムにも問題があると指摘し、国語、数学のほかに、科学の授業を小学校の必修科目として取り上げるべきであると主張する科学者もいる。利益で子供の科学に対する興味をそそるようなやり方や、単に高い成績を求める方法は、興味や学習意欲を犠牲にしてしまい、短期的には有効かもしれないが、長い目で見れば、教育の根本的な部分を損ないかねないとの懸念がある。

(*)「高考」とは「大学入試」のことで、「状元」はもともと科挙用語の一つで、1位を取った人のことをさす。高考状元は大学入試で最もよい成績を取った人。

[JST北京事務所]