[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
フラウンホーファー協会 システム・イノベーション研究所(ISI)
元記事公開日:
2014/08/04
抄訳記事公開日:
2014/08/22

資源効率化シナリオ2030

Zukunfsszenarien zur Ressourceneffizienz im Jahr 2030: „Grüne neue Welt“ oder „Nach uns die Sintflut“

本文:

このほど終了した研究プロジェクト「分子レベルの分別(Molecular Sorting)」においてフラウンホーファー応用研究促進協会の7研究所が、リサイクル・プロセスで将来、分子レベルまで資源効率化を図るにはどうすればよいかを調査研究した。フラウンホーファー システム・イノベーション研究所(ISI)は、これに関してISIは概略下記のような報道発表を行った。

ISIは三つのシナリオを作成した。資源効率化研究で考えられる様々な展開を出発点として、企業にリサイクル技術のポテンシャル、チャンス、リスクを示すものである。

ISIは「緑の新世界」、「現状維持」、「ノアの大洪水」というタイトルで未来シナリオをまとめ、2030年頃の資源効率とこれによって生ずる生態学的、経済的、技術的な帰結を示した。調査の対象は特にガラス、木材等、材料の再利用や再資源化、資源効率を向上のための新しい方法等である。ISIの研究者は、未来予測をベースに専門家たちと共にこれら三つのシナリオを考えた。その目的は2030年までの展開をできる限り詳細に、総合的に描くことあった。というのはこれがリサイクル技術の将来性の推定に役立つからである。

「緑の新世界」という理想的でポジティブなシナリオは、持続可能性が市民や企業の意識にしっかりと根付いていることを基本にしている。工業生産は省エネ、省資源の高い技術的標準に準拠。資源価格が上昇しているため使用済みガラス、金属等はリサイクルに回収され、木材屑や汚泥等はエネルギー生産のために利用されている。これによって2030年には化石燃料に対する再生可能エネルギーの割合が1/3以上になり、EUの資源自給自足に寄与する。

これとまったく反対の未来像となるのがネガティブなシナリオである、「ノアの大洪水」である。持続可能性への意識の欠如によって資源が無駄に消費され、EUの資源依存性は上昇、木材の輸入も増加。企業はコスト優先に走り、環境保護あるいは資源保護に背を向ける。環境に優しい技術への投資は抑えられ、再生可能エネルギーの開発も妨げられる。エネルギー消費の増加は価格の上昇と資源不足に繋がる。

生産動向や技術動向を早期に認識することと並び、限りある資源とどのように取り組むのかは企業にとってその競争力との兼ね合いから、たいへん重要な役割を果たすことになる。必要な広い視野によって企業はその行動を早期に生じうる変化に対応させ、国内外の競争相手に一歩先んずることができる。

[DW編集局]