[本文]

国・地域名:
中国
元記事の言語:
中国語
公開機関:
中国科学報
元記事公開日:
2014/07/30
抄訳記事公開日:
2014/08/28

曹雪涛院士:基礎研究の支援にはリスク意識が欠かせない

曹雪涛:资助基础研究得有点风险意识

本文:

2014年07月30日付の「中国科学報」ネット版は、曹雪涛院士が基礎研究の支援にはリスク意識が欠かせないと指摘したと報じた。本記事ではその概要をまとめる。

中国医学科学院院長、中国免疫学会理事長、世界的に著名な免疫学者である曹雪涛氏によると、自分は博士課程修了時に、中国国家自然科学基金委員会(NSFC)から3万元の補助金を受け、科学研究の道に進んだという。

曹雪涛氏は、「ようやく手に入れた補助金で実験室を少しずつ建設できた。国家自然科学基金委員会に感謝している」と語った。

中国国家自然科学基金委員会は1986年に設立され、基礎科学を支援するファンデングエージェンシーであり、中国科学者に高く評価されている。同委員会は研究プログラム、人材プログラム、環境プログラムを通じ、優秀な学者及びプログラムオフィサーを多く支援してきた。

若手学者への支援に言及し、曹雪涛氏は「国家傑出青年科学基金(*)は人材育成を目的としたファンドであり、若手科学者を多く育てた。30代でまだ成功していない若手研究者をより多く支援すべきである」と表明した。

曹雪涛氏は、「科学基金は研究のオリジナリティーを評価し、科学者にいい方向性を示している。科学者は課題のオリジナリティーを工夫しなければならない。中国には、オリジナルな考え方と技術体系を有する一流の科学者はまだまだ足りない。基礎研究を支援するには、リスク意識が欠かせない。未熟な学術的思考様式を支持し、失敗を寛容する必要がある。重要なのは、持続的かつ安定的な支援を提供することである」と指摘した。

曹雪涛氏はまた、「今後、国際交流への支援を強化し、中国科学者の国際科学フロンティアへの参与を奨励してほしい」と提言した。

(*)国内における若手科学技術人材の育成及び海外学者の帰国促進のために設置されたファンドであり、国内外にいる45 歳以下の華人研究者に対し、資金を提供する。

[JST北京事務所]