[本文]

国・地域名:
中国
元記事の言語:
中国語
公開機関:
中国科学報
元記事公開日:
2014/08/04
抄訳記事公開日:
2014/09/03

スモッグ対策、エネルギー構造の調整が大切

中国国际能源峰会:雾霾治理不能简单去煤炭化

本文:

2014年08月04日付の「中国科学報」ネット版は、スモッグ対策の推進において、エネルギー構造の調整が大切であると報じた。本記事ではその概要をまとめる。

2012年から、京津唐(北京、天津、唐山)、長江デルタ、珠江デルタ、東北地区の旧工業基地であるハルビン、吉林等で深刻なスモッグが度々発生している。7月28日に開催された「2014年中国(北京)エネルギーサミット」において、多くの専門家は、「スモッグ対策は単に石炭の使用を削減することではなく、エネルギー構造の調整が大切である」と指摘した。

このほど、中国環境科学研究院と多くの大学は、スモッグ発生のメカニズムを解析した。北京でスモッグが発生した原因について、北京市環境保護局は次のように説明した。北京市の周りには、3億トンのセメント生産能力・粗鋼生産能力・石炭による火力発電能力を持つ工業、1千万TEU(20フィート標準コンテナ換算)以上の積載能力を持つ板ガラス及び石油化学工業があり、これらの工業のPM2.5寄与率は3分の1に近い。また、500万台の車から排出されたガスが、高層ビルに遮断され、拡散しにくくなった。これらのことは、北京でスモッグが発生した重要な原因である。

中国鉱業大学の王立傑教授は、「石炭の使用はスモッグをもたらしたが、経済が成長するうえで、エネルギーはなくてはならないものである。石炭は一次エネルギーとして、中国エネルギー消費量の70%ぐらいを占めている。しかし、中国のエネルギー構造改革は、たやすく達成できることではない。化石燃料、特に石炭の使用を徐々に減少し、同時に新エネルギーを開発して代替していくことになるが、この過程は少なくとも20年がかかる。現段階では、石炭のグリーン利用を進め、高効率発電と石炭化学事業に取り組むべきである」と表明した。

中国国務院総合経済司の範必司長は、「エネルギー構造の調整は長期的事業であり、往々にして何十年もかかる。現在、石炭のグリーン利用は現実的な選択である。今年4月に開かれたエネルギー委員会第1回会議では、高効率かつグリーンな石炭火力発電ユニットを導入することによって、火力発電所のモデルチェンジを促すことが明確に打ち出された。シェールガスが大幅な発展を成し遂げたなら、中国における石炭使用の削減、良質なエネルギー使用が可能となる」と語った。

[JST北京事務所]