[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国立農学研究所(INRA)
元記事公開日:
2014/09/30
抄訳記事公開日:
2014/10/20

生物多様性は森林の旱魃に対する抵抗力向上に必ずしも役立たない

La biodiversité n'améliore pas nécessairement la résistance des forêts à la sécheresse

本文:

国立農学研究所(INRA)の2014年9月30日標記報道発表の概要は以下のとおり。

気候変動に直面すると、世界の一部地域では森林の健全性に特に影響を及ぼす旱魃の事態に遭遇する。INRAの研究者はスイスの森林・積雪・景観に関する連邦研究所(WSL)および欧州の科学者と協力して、森林の旱魃に対する抵抗力に関して樹種の多様性の影響を調査した。科学界が想定していたものとは逆に、多様性は必ずしも森林の旱魃に対する抵抗力向上の要因ではない。この結果は2014年9月29日付けの米国科学アカデミー紀要(PNAS)に発表されている。

気候変動によって引き起こされる極限状況は、森林の生態系が満たす機能や営みに壊滅的な結果をもたらし、樹木の深刻な枯死現象の原因となる危険性がある。最近では生物多様性が森林生態系の生産性や害虫・病害に対する抵抗力の向上に役立つ可能性があることが分かっている。しかし、生物多様性が旱魃に対して森林生態系の抵抗力向上に役立ち得るかどうかは、これまで明らかになっていない。

上記問題の解明目的でナンシー・ロレーヌのINRAの研究者が、チューリッヒのWSL研究チームおよび欧州各国の研究者と協力して、欧州5地域(スペイン、イタリア、ルーマニア、ポーランド、ドイツ)に分布する160箇所の森林区画について調査を実施した。本調査で、欧州の範囲では多様性を有する森林は純粋種の森林に比べて旱魃に対する抵抗力が必ずしも大きいわけではないことが判明した。

[DW編集局+JSTパリ事務所]