[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
報道センター
元記事公開日:
2014/09/26
抄訳記事公開日:
2014/12/04

洪水からEU海岸地域を守る2つの研究プロジェクト

Keeping EU seaside communities safe from flooding

本文:

欧州委員会は、2014年9月26日に標題のプレスリリースを発表した。以下にその概要を紹介する。
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沿岸地域は人口密度が高く、浸食や海面上昇もあり、洪水リスクが特に高い。しかし、悪天候と洪水の発生に事前に備え、洪水リスクを考慮に入れたインフラや住居の設計・建築が可能になれば、その地域の洪水被害を軽減することができる。このような背景で、2つのEU助成プロジェクトのMICORE及びTHESEUSが生まれた。沿岸地域の住民と住居の安全を守るために、MICOREは沿岸暴風雨の早期警告システムの開発を、THESEUSは地方自治体・建設業者・地域開発業者の計画支援システムの開発を行った。

●MICOREプロジェクト:
MICOREプロジェクトは、海岸線を浸食する高波によって発生する災害をシミュレーションする初期警告システムを開発した。本ソフトウェアは、災害予測や初動対応の改善支援を通じて、公衆安全を高めることを目指している。

本システムは、オープンソースコードを基にしており、海流・潮位情報や特定地域の詳細な地質構造上の情報を提供する。2011年9月のプロジェクト終了までに、オンライン上に無料で利用できるプロトタイプが完成し、リアルタイムの情報を提供した。

本プロジェクト・コーディネターのCiavola氏(イタリア・フェラーラー大学)によれば、早期警告システムはとても柔軟性に富んでいるので、様々な沿岸地域で応用可能であり、「輸出できる」とコメントしている。

●THESEUSプロジェクト:
欧州地域は、様々な面で沿岸の洪水に対して脆弱である。このような洪水の科学・社会・経済・環境的側面を検討の上、EU助成のTHESEUSプロジェクトは、その地域の地勢的・物理的条件に関わらず、建設業者と地方自治体が地域の住宅・インフラの安全を維持できるよう手助けする“指導と助言”を導き出す。

本ソフトウェア・パッケージには、意思決定支援システムが含まれている。意思決定者は、ただ対処している状況を入力するだけでよい。「そうすることで、その沿岸地域の建築・開発における短期・中期・長期の影響が明らかにできます。」と、プロジェクト・コーディネーターのZanuttigh氏(イタリア・ボローニャ大学)はコメントしている。

本プロジェクトのハンドブックの目的は、沿岸地域の管理者がTHESEUSの手法を用いて最適な低減オプションを選択できるようにすることである。これは、意思決定者が現行の政策における強みと弱みや対処すべき主要な問題を特定することを手助けする政策概要のパッケージに裏打ちされたものである。

<2つのプロジェクト概要>
(1)プロジェクト名:MICORE
・ EU助成額:350万ユーロ(MICORE)
・ EU参加国:EU9カ国(ベルギー、ブルガリア、フランス、イタリア、オランダ、ポーランド、ポルトガル、スペイン、英国)
(2)プロジェクト名:THESEUS
・ EU助成額:650万ユーロ(THESEUS)
・ 参加国:EU12カ国(ベルギー、ブルガリア、デンマーク、フランス、ドイツ、ギリシア、ラトビア、オランダ、ポーランド、イタリア、スペイン、英国)、その他協力国(ウクライナ、ロシア、メキシコ、中国、台湾、米国)
※いずれも、第7次研究枠組み計画(2007年〜2013年)によるもの。

[DW編集局]