2015年3月11日付の「中国科学報」ネット版は、科学技術部(MOST)の万鋼部長による『中国の科学技術改革と発展』についての記者会見の内容を報じた。本記事ではその概要をまとめる。

3月11日、全国人民代表大会プレスセンターで記者会見が開かれ、科学技術部(MOST)の万鋼部長は中国の科学技術改革と発展について以下のように述べた。

2014年は全面的科学技術改革の「元年」と呼ばれている。中国政府は科学技術発展、科学技術改革において着実に前進していると評価した。
一、基礎研究：

・中国はライフサイエンスと遺伝子工学の分野で重大なブレークスルーを実現し、将来の遺伝子治療法の基礎を築き上げた。

・鳥類の起源、新型鉄基超伝導材料、暗黒物質実験室の完成等の多領域で重大な成果をあげた。

・中国の科学技術論文の被引用数は世界第2位にランクされ、論文の被引用回数は世界第4位になった。

二、ハイテクノロジー研究：

・中国の天河二号は、世界スパコンのランキングの四連覇を遂げた。

・月探査は計画通りに進んでいる。

・地球観測衛星「高分二号」は正式に使用を開始し、民用リモートセンシングの応用レベル向上といったブレークスルーがあった。

・災害観測衛星「快舟二号」の打ち上げは更に緊急時の観測能力を高めた。

・ハイブリッド米は大規模栽培でムー当りの生産量が1,000㎏の大台を突破した。(注：「ムー」は中国で農地を計算する面積単位であり、1ムー＝1/15ヘクタール)

三、産業技術：

・高速鉄道技術の難関を突破し、時速を250キロから380キロに引き上げた。

・新エネルギー自動車保有量は12万台を超えた。

・モバイル通信において、中国は世界最大の4Gネットワークを構築し、TD-LTE(3G携帯電話を高度化した高速なデータ通信仕様である)のユーザ総数は7000万を超えた。

四、農業科学技術：

・農業の科学技術進歩貢献率は56%以上で、農業科学技術が多大の成果をあげた。

五、科学技術の社会実装：

・中国の科学技術恵民計画（科学技術社会実装計画）は著しい成果を収め、医療器械の国産化を更に推進している。

・国家重点実験室と病院重点実験室の研究が重要な役割を果たしている。

六、科学技術改革：

・2014年、中央財政科学研究資金、プロジェクト経費管理、成果転化、科学研究施設の共有、院士制度改革等において多くの改革措置を導入した。そのうちで、国務院は「中央財政科学研究資金（特定プログラム、基金等）管理に対する改革と、中央財政支出する研究プロジェクトと資金管理の強化が注目されている。

[JST北京事務所]