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デイリーウォッチャー
国名:
ドイツ
公開機関:
連邦教育研究省(BMBF)
元記事公開日:
2015/05/13
抄訳記事公開日:
2015/06/08
元記事の言語:
ドイツ語

抗生物質耐性の世界的な拡大との戦い

Weltweiten Anstieg von Antibiotika-Resistenzen wirksam bekämpfen

本文:

ドイツ連邦閣議は新しいドイツ抗生物質耐性戦略(DART 2020)を決定。これに関して連邦教育研究省(BMBF)は概略下記のような報道発表を行った。

連邦閣議は本日新しいドイツ抗生物質耐性戦略(DART 2020)を決定した。これにより2008年に開始された抗生物質耐性との戦いが継続され、強化されることとなる。

グロェーエ連邦保健大臣の発言要旨:世界的な抗生物質耐性の広がりをストップしなければならない。抗生物質がもう効かないということになると、治療方法はペニシリン以前の時代に逆戻りすることとなり、その結果、これまで容易に治療できた膀胱炎、手術の傷の炎症等様々な疾病が深刻な健康障害に繋がることにもなりうる。我々は既に重要な進歩を遂げており、今や努力を国レベル、そしてまた国際的にも改めてしっかりと強化していくことが肝要である。医療分野、畜産等における抗生物質の利用についても明確な規則が必要であり、新しい抗生物質、代替となる処置方法、迅速な診断のためのテスト等の研究開発も前進させなければならない。どの国も世界的な抗生物質耐性の悪化を一国だけで止めることはできない、それ故国際的に一体となって進まなければならない。来週のWHO総会において計画を採択するだけでなく、6月のG7 においてもこのテーマをアジェンダに載せることにした。新しいドイツ抗生物質耐性戦略によって我々は抗生物質耐性との戦いをあらゆるレベルで前進させる。

シュミット連邦農業大臣談の発言要旨:獣医学の領域において早期に今日の状況を予見し、重要な規則を設けている。しかしここで立ち止まっていることは許されない。我々の目標は、抗生物質製剤の使用を更に制限づけることでなければならない。医薬品法の新追加条項やそれによって新しく制度化された最小限化システムはその一里塚となるものである。一貫した記録のための条件を整備し、それに基づいて医薬品利用を継続的に制限できる。動物保護のためのイニシアチブに関する措置も二重の意味でプラスの効果を持っている。即ち、抗生物質をあまり使用せず、それによって耐性もあまり形成されることがなく、その結果一方において抗生物質の無い動物の健康のため、もう一方で人間の健康のためになる、ということである。

ヴァンカ連邦教育研究大臣発言要旨:研究は抗生物質耐性と戦うための重要な基盤をもたらしてくれる。耐性がどのようにして形成されるのか、またどのようにしてバクテリアのもとでひろがっていくことができるのか、を理解することになる。これによってのみ耐性形成の増加に対抗する効果的な戦略を展開できる。同時に、多耐性バクテリアが抵抗できないような新しい効果的な抗生物質を開発しなければならない。BMBFは持続的にドイツ感染症研究センターやヘルムホルツ感染症研究センター等の研究機関における抗生物質研究を助成していく。

DART 2020は、抗生物質耐性の発生及び蔓延を防ぐことに焦点を当て、人間医学及び獣医学の分野で並行して利用できるような各種の措置を提供している。またこの戦略は、新しい抗生物質、代替治療方法、迅速なテスト方法等の研究開発の強化に寄与するものである。動物と人間は同じ病原菌によって感染することが多く、同じ抗生物質で処置されることが多い。従って分野横断的なアプローチによってのみ抗生物質耐性の発生及び蔓延を効果的に抑制することができる。このためDART 2020は“One Health”(人間と動物を一つとした健康)というアプローチを一貫して実行することを特徴としている。DARTは連邦保健省、連邦食糧農業省、BMBFの共同の戦略である。

DART 2020の目標:
1. One-Healthの方向付けを国においても、国際的にも強化する
当該連邦各省は人間医学及び獣医学の領域における抗生物質耐性の抑制のために各省間ワーキング・グループにおいて協力し、人獣共通感染症に関する協定を改正する。連邦各省は抗生物質耐性と世界的に戦っている専門的に重要な国際的機関を支援する。

2. 耐性の推移を早期に認識する
新しい病原菌及び耐性を早期に確認し、研究にも利用されるドイツ全体のためのデータを維持する監視システムを整備する。これによりセラピー及び衛生に関する勧告並びに的を絞った予防戦略をタイムリーに展開することができる。

3. セラピー・オプションの維持及び改善
抗生物質利用モニタリングを拡大する。このデータは国家的なベースにおいてインターベンション措置の基礎となる。更にガイドラインの作成及び利用に関するコンセプトを作成する。

4. 感染連鎖を早期に切断し、感染を回避
人間医学においても、獣医学においても診断を改善し、衛生上の措置の実行を促進する。動物の飼育方法はこの意味において最適化しなければならない。 

5. 意識の向上及びコンペテンスの強化
知識及び行動コンペテンスは一般市民においてはもとより、医師、獣医師更には保健関係の職業に従事する者についても目標グループに特定した情報によって伝達されなければならない。これらは耐性を有する病原菌の蔓延を阻止する上で決定的に寄与することができる。

6. 研究開発を支援
基礎研究から、耐性の発生及び蔓延、更には新しい診断及び医薬品の開発に至るまで、人間医学及び獣医学のあらゆる関連領域の研究および学際的な研究計画を強力に推し進める。

[DW編集局]