[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
ビジネス・イノベーション・技能省(BIS)
元記事公開日:
2015/06/01
抄訳記事公開日:
2015/07/22

ジョー・ジョンソンBIS大学・科学担当大臣の国際高等教育に関するスピーチ

International higher education

本文:

ビジネス・イノベーション・技能省(BIS)の2015年6月1日付発表記事では、ロンドンで開催された国際高等教育に関する会議”Going Global 2015″におけるジョー・ジョンソン(Jo Johnson)新BIS大学・科学担当閣外大臣の講演内容を報じている。概要は以下のとおり。

ブリティッシュ・カウンシルの調査によると、現在英国学生の3分の1以上が海外留学に関心を有している。実際に留学する学生数も増えており、昨年は2万9,000人であった。今後もさらに増やしていく必要がある。英国産業連盟(CBI)の調査では、英国企業は英国の学卒者の総合的な語学力に不満を持ち、彼らの文化的意識が一般的に低いことに失望している。グローバル化した世界に備えるべく、さらなる努力をしなければならない。

EUの「エラスムス・プログラム」やブリティッシュ・カウンシルの”Generation UK Programme”(2020年までに中国に8万人、インドに2万5,000人の学生を送る目的の)に対する強い要請を歓迎する。このような重要プログラムに基づいて、学生の雇用可能性の向上及び英国の海外との連携支援を図る必要がある。

●外国からの留学生を歓迎

当然ながら、外国から英国への留学生も高く評価する。最も優秀な外国人学生を得ようと、競争は激しくなっていると認識している。英国の優れた教育制度が優秀な頭脳を絶えず引きつける磁石となるよう、引き続き努力する。

現在、高等教育(HE)の外国人学生は43万5,000人を超え、大学生5人のうち約1人が外国からの留学生である。彼らは世界的にも質の高い教育や研究の機会を求めて英国にやって来る。ロンドンには世界の他のどの都市よりも多くの一流大学が存在する。世界の上位10大学のうち4大学を擁し、米国に次ぐ第2位である。英国の研究基盤は世界のトップレベルで、大学も世界有数の大学であり、英国は世界でも最も聡明な頭脳を育成し引き寄せる国である。ノーベル賞によるランクでも世界第2位である。

●英国にとっての利益

外国からの留学生は英国の研究能力の一端を担う。彼らが授業料として支払う39億ポンドは、大学のトップレベルの施設や設備への投資に役立つ。留学生はまた、英国内の需要だけでは十分に維持できない、講座への需要を高める。その結果、学生全員がより広範囲の講座を利用できるようになり、戦略的に重要な講座も開催可能となる。

留学生はとりわけ、英国における最高級のSTEM教育の維持に役立っている。工学技術等の学科の大学院生の47%がEU域外からの留学生である。

今日の留学生は明日の世界の指導者である。彼らは友情と信義を母国に持ち帰り、そられが後に、取引上での繋がり、文化的な絆、外交上の連繋になる。留学生の80%近くが、英国との職業上の関係の発展を期待している。

留学生からの直接的な経済的利益も現実にあり、EU域外からの留学生100人当たり45件のフルタイム相当の雇用が創出され、英国企業では460万ポンドのビジネスが生じている。

ロンドンは外国の学生に世界で最も人気のある留学先であるが、EU域外からの留学生の23%がイングランド北部に、16%がミッドランドに、9%がスコットランドに在学する。

●首相からの明確なメッセージ

「最も優秀な人々、英国の成功を支援してくれる有能な労働者や優秀な学生は大歓迎である。英国の大学に留学できる外国からの留学生数に上限はない」

上記はキャメロン首相の発言である。政府が資金を出す英国学生の数には、かつては制限があった。しかし持続可能な卒業後返済制度が実施されており、政府は公的資金を受けている英国学生数の制限を撤廃する立場で取り組んでいる。

●誠実な学生であること

政府の留学生歓迎は誠実なものである。しかしそれは誠実な学生に対するものである。当然のことながら、不正な出願や偽学生といった行為に対しては取締りを行う。

●英国の高等教育制度の強化

全世界から良質の学生を引き寄せる最善の方法は、世界有数レベルの高等教育部門を維持することで、これを英国は保有している。しかし現在の栄光に満足しているわけではなく、2012年から高等教育制度に重要な改革を導入した。OECDの見解によると、英国は高等教育ファンディングの持続可能な方式を確立した世界でも数少ない国の1つである。

●留学生募集の増強策

インドなど主要相手国からの留学生数が減少している。高等教育の海外への売り込み(Education Exports)を2012年の180億ポンドから2020年には300億ポンドに増やそうと取り組んでいるが、世界中から優秀な学生を継続的に引き寄せることなくしてはこの目標は達成できない。

現在奨学金プログラムの拡大を図っており、昨年はチーヴニング(Chevening)奨学金に対するファンディングを3倍にした。今年政府はチーヴニング、コモンウェルズ、マーシャルの各奨学金制度に7,000万ポンド強を支出する。2,500件以上の奨学金を可能にし、6万人の卒業生を支援することが、国民間の生涯にわたる関係構築に役立つ。

[DW編集局]