[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
共同研究センター(JRC)
元記事公開日:
2015/08/18
抄訳記事公開日:
2015/09/09

食糧安全保障の展望に関するフォーサイト・レポート

Foresight food security: from hunger and poverty to food system approach

本文:

欧州委員会共同研究センター(JRC)の2015年8月18日付のニュースで、標記の記事が掲載されている。以下にその概要をまとめる。
===

欧州委員会共同研究センター(JRC)は、世界の食糧安全保障の展望に関する調査報告書としてフォーサイト・レポート(今後の展望に関する報告書)を発表した。この中で、栄養不良や人道支援との関連で長い間検討が続いている食糧安全保障政策は、現在よりも広範な視野に立ち、2030~2050年にかけて90億人に迫ろうとしている世界人口が日常的に食糧を手に入れられるようにすることに傾注すると同時に、一部のコミュニティにおける食糧不足にも対処するものでなければならないとしている。

これまで食糧安全保障をめぐる議論では、生産や農業、飢餓、貧困、人道的な側面に重点が置かれてきたが、今回の食糧安全保障の展望に関する調査でJRCは、食糧安全保障の実現が今後数年間における最重要課題の一つになるものとして、さらにもう一歩踏み込み、より包括的かつ体系的なアプローチに移行してこの複雑な問題に取り組むことを提案している。

報告書ではまた、食糧安全保障は、世界的・体系的な課題であるだけでなく、EUがイノベーションや通商、保健衛生、富の創出、地政学において役割を果たすための機会でもあるとし、食糧安全保障から食糧システムに基づくアプローチへと移行するには、EUレベルでこれまで以上に調整を行い、一貫性を確保していくことが求められると述べている。

JRCの世界の食糧安全保障の展望に関する調査では、欧州委員会、外部の専門家および利害関係者が結集して2030年の食糧安全保障のビジョンが描き出されている。こうしたアプローチにより、栄養不良に苦しむ人々の相対的な数は大幅に減少すると予測されている。

[JSTパリ事務所]