[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2015/10/13
抄訳記事公開日:
2015/10/19

Horizon 2020:新しいワークプログラムが欧州の成長・雇用・競争力を支える

Horizon 2020: new Work Programme supports Europe's growth, jobs and competitiveness

本文:

2015年10月13日付の標記記事にて、欧州委員会は2016-2017年を対象とした新しいワークプログラム(公募要領)を公表した。本記事では、その概要をまとめる。

2014-2020年を対象とするHorizon 2020は、770億ユーロの予算を伴う、欧州においてこれまでで最も大きい研究・イノベーションへのファンディングプログラムである。本日欧州委員会は、第二期の2年間を対象としたワークプログラムを採択した。この2年間の予算額は160億ユーロであり、主な優先事項は以下のとおりである。

1.雇用・成長・投資の促進
・約20億ユーロを、中小企業支援プログラムに配分。また、併せて欧州戦略的投資ファンド(EFSI)による支援との相乗効果の促進。
・欧州研究会議(ERC)では、2016年のみで、17億ユーロ(約1,000のグラント相当)を配分。また、2016年のみで、マリー・ストロウフスカ・キュリー・アクションにより約10,000名を支援。
・1億4,000万ユーロを新しい汎欧州レベル研究インフラの開発・運用に投資するとともに、2億ユーロを主要な国の研究インフラを統合・オープン化することに対し投資。

2.結合度の高いデジタル単一市場
・モノのインターネット(IoT)に関連した公募に対し、1億3,900万ユーロを配分。
・デジタルセキュリティに関連した公募に対し、1億1,800万ユーロを配分。
・自動化された車両輸送に関連した公募に対し、1億1,400万ユーロを配分。
・欧州オープンサイエンスクラウドの構築に対し、5,000万ユーロを配分。

3.将来を見据えた気候変動政策を伴うレジリエントなエネルギー連合
・スマートで持続可能な都市に関連した公募に対し、2億3,200万ユーロを配分。
・エネルギー効率に関連した公募に対し、1億9,400万ユーロを配分。
・競争力のある低炭素エネルギーに関連した公募に対し、7億2,300万ユーロを配分。
・再生可能エネルギーに関する市場化に近い取り組みに対し、4億ユーロ以上を配分。

4.強化された産業基盤を伴う、より深遠かつフェアな域内市場の構築
・欧州の産業能力を推進・更新させる「循環経済におけるIndustry 2020」公募に6億6,900万ユーロを配分。
・個別化医療に関連した公募に対し、6億5,900万ユーロを配分。
・単一市場の動脈としての輸送の役割を強化する「成長のためのモビリティ」公募に対し、4億3.600万ユーロを配分。

5.より強力なグローバルアクターへ、新たな移民政策に向けて、そして相互信頼に基づいた正義・基本的人権の担保
・潜在的に危険なヒト・モノの流入を防ぐ「国境におけるリスクに基づいたスクリーニング」というテーマに基づく公募に対する800万ユーロを含む、複数の取り組みに資金を配分。
・国際連携関連の公募・イニシアチブにより、欧州域外国との研究・イノベーションにおける連携を強化し、共通する社会的課題への取り組みをより効果的なものにする。

6.横断的事項、その他の事項
・2014-2020年に900億ユーロを配分する欧州構造・投資基金(ESIF)とのシナジーを生む。たとえば、Horizon 2020では予算の都合上採択に至らなかったものの一定の基準を超えていたプロジェクトに対し、ESIFにより支援。この仕組みを促進するために、2016年以降、中小企業支援プログラムにおいて一定の基準を超えつつも採択されなかったプロジェクトに対し、”Seal of Excellence”を付与。
・欧州域内の研究・イノベーション格差の是際のために、2億200万ユーロを支援(この2年間に限定されない取り組み)。

なお、リンク元の記事では、今後2年間の、Horizon 2020の構成にしたがった公募数・配分額の一覧表を参照することができる。

[DW編集局]