[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
原子力・代替エネルギー庁(CEA)
元記事公開日:
2015/11/03
抄訳記事公開日:
2015/12/09

日・仏による原子核の魔法数を探る実験

Une expérience franco-japonaise en quête des nombres magiques nucléaires

本文:

原子力・代替エネルギー庁(CEA)の2015年11月3日付け標記報道発表の概要は以下のとおり。

CEA、国立科学研究センター(CNRS)、パリ大学(南)、ストラスブール大学等の研究者が参画する日仏チームは、実在する中で最も不安定な原子核の研究に必要な実験を企画した。その最初の実験結果が2015年11月3日付で”Physical Review Letters”誌に発表された。科学者らは(物質の原子核中の挙動を支配する)自然界にある4つの基本的な力の内の1つである「強い力」の実証把握において進展を見た。

4つの基本的な力とは、重力、電磁力、弱い力(ベータ崩壊を起こす力)、強い力(核力)を指す。「強い力」に由来する核力は、核子(陽子、中性子)を原子核内部に閉じ込める。核力は複雑な量子現象の原因であり、恒星における(最も軽量なものから最も重量のものまで)原子の生成の発端となっている。原子核の中には、中性子及び陽子が特定の数の場合に他と比べて特に安定なものがある。物理学者はこれを「魔法核」と呼び、この相対的安定性を掌るメカニズムの把握に向けて探究しており、このような核についての普遍的な説明が現代の理論にとって課題とされている。

この課題に対応できる情報の取得を目指して、不安定な核の分光法によるエネルギーレベルの測定を実行するための研究手段、Minosシステムが建設された。これは、理化学研究所仁科加速器研究センターにあるRIビームファクトリー(RIBF)で2014年から稼動している。RIBFは中性子の豊富な核を生成し、これまで研究されたことのない核の観測が可能な、世界で最も高性能の施設である。

CEAでの5年間に亘る技術開発及び日本での最初の実験の解析を経て、日・仏チームはこのほど初めての成果を発表した。

[DW編集局+JSTパリ事務所]