[本文]

デイリーウォッチャー
国名:
米国
公開機関:
国立科学財団(NSF)
元記事公開日:
2016/01/19
抄訳記事公開日:
2016/03/24
元記事の言語:
英語

アジアの発展と米国科学技術の指導力

U.S. science and technology leadership increasingly challenged by advances in Asia

本文:

2016年1月19日付の国立科学財団(NSF)の標記報道発表の概要は以下のとおりである。

全米科学理事会(NSB)はこのほど2016年版「科学技術指標(Indicators)」を発表した。今回の報告では、中国、韓国、インドが、科学技術における研究開発や、高度の教育を受けた要員の育成に重点的に投資していることに注目している。また、米国は様々な測定指標において依然として主導権を保持しているものの、知識や技術の創造・活用を巡って科学技術の益々の多極化傾向が展開されていることを明らかにしている。

●中国の躍進

2016年版Indicatorsによれば、中国は今や世界第2の研究開発国で、世界全体の研究開発の20%(米国は27%)を占めている。2003~2013年の間、中国は研究開発投資を年平均19.5%のペースで増やしているが、これは米国のそれを大きく上回り、大不況にも関わらず、中国はこの投資を果たしている。
中国はまた、ハイテク製造業や知識集約型サービスなど知識・技術集約型産業において、ますます重要な役割を果たしつつある。これらの産業は、世界全体ではGDPの29%を占め、米国のGDPの約40%を占める。中国はハイテク製造業世界第2位にランクされており、世界シェアでは中国の27%に対して、米国は29%と僅かなリードを保っている。中国の果たす役割が比較的小さい商用の知識集約型サービス(ビジネス、ファイナンシャル、情報)でも、日本を追い越して米国、EUに次ぐ第3位に躍進している。

中国はまた、研究開発及び知識・技術集約型産業の支援に不可欠な科学技術教育においても、大きく前進した。中国は大学レベルにおける科学技術課程の世界一の育成国であり、中国で授与される全学士号の49%(米国では全学士号授与件数の33%)をこの分野が占めている。中国の大学課程人材育成は主要先進国・先進地域よりも進展の速度が速く、2000~2012年の間に300%以上上昇している。同じ時期に中国で授与された科学技術以外の学士号の数は1000%上昇しており、中国が科学技術だけでなくあらゆる領域で能力の構築を図っていることを示している。中国で授与された科学技術大学院学位の数も上昇しているが、科学技術博士号の授与数では米国が依然として最大で、米国は依然として学生の海外留学選択先となっている。

●揺れ動く米国連邦政府の取り組み

中国と韓国が研究開発投資を継続的に増やしているのと同時期に、米国の連邦政府ファンディングによる研究開発に対する長期的な取り組みは揺れ動いている。2013年は、政府ファンディングによる研究開発が米国の研究開発全体の27%を占め、米国基礎研究の最大の支援者(47%)であった。

Indicatorsによれば、学術界及び企業の両方の研究開発に対する連邦政府の投資は近年減少している。これには、ARRA(米国再生・再投資法)による投資の終結、予算管理法(Budget Control Act)の登場、連邦予算の裁量部分に対する圧力の高まりが影響している。大不況以来、研究開発の実質的な年当たりの伸びは回復していない。2003~2013年の期間の米国の研究開発全体のインフレ調整後の伸び率は年平均0.8%で、米国GDPの年平均伸び率1.2%を下回っている。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]