[本文]

国・地域名:
中国
元記事の言語:
中国語
公開機関:
科技日報
元記事公開日:
2016/02/02
抄訳記事公開日:
2016/03/29

超伝導サイクロトロンの研究開発が間もなく始動

超导回旋加速器研制将启动

本文:

2016年2月2日付の「科技日報」ネット版は、超伝導サイクロトロンの研究開発が間もなく始動すると報じた。本記事ではその概要をまとめる。

中国原子力エネルギー科学研究院の情報によると、同院では今年から230MeV医療用陽子加速器の原型機の研究開発が始動し、2018年頃設備の導入を完了予定であるという。同設備はモデル機として、徐々に臨床試験に投入していく見込みである。同院のタンデム型加速器グレードアップ・エンジニアリング部の張天爵総経理によると、これは中国初で自主的に研究開発した超伝導サイクロトロンであるという。

張天爵総経理は「超伝導技術によって加速器を小型化し、病院での設置に利便性を提供した。同設備は加速して陽子線を連続的なビームとして提供でき、ペンシルビームスキャニング照射法を適用し、治療の効率を高めた」と説明した。5年にわたる予備研究を通じ、このほど、230MeV医療用陽子加速器は主要設備のデザインとコア技術の検証テストを完了し、既に加工所要時間が最も長い超伝導マグネットシステムの制作段階に入った。

現在、陽子線治療は腫瘍の放射線治療の最新技術である。同装置は最大のエネルギーを放出してがん病巣に陽子線を照射し、がん細胞を破壊し、引いては腫瘍を消滅させることもできる。正常な組織への影響や副作用が軽く、頭頸部、眼科、胸部、消化管の腫瘍及び小児腫瘍等の治療において優位性を持っている。中国には陽子線治療装置が2台ある。設備がセットで海外から輸入されたため、設備の買い入れ、メンテナンス費用、備品費、技術支援費が非常に高い。

張天爵総経理は「コスト低減にとって最も重要なのは、コア技術の自主的研究開発を実現することである」と述べた。中国原子力エネルギー科学研究院は、自主的に100MeV陽子サイクロトロンの研究開発に成功し、がん治療装置に技術的ブレークスルーをもたらしたという経緯をもつ。同院は国際協力の基に、自主イノベーション、自主制作を通し、陽子線治療を適用した230MeV超伝導サイクロトロンの原型機を研究開発し、小型化した陽子線治療システムのコア装置として応用する見込みである。コア技術を掌握した後、産業化を実現すれば、有効的に陽子線治療の費用を低減することができる。

[JST北京事務所]