[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国防高等研究計画局(DARPA)
元記事公開日:
2016/05/06
抄訳記事公開日:
2016/06/24

より高度で複雑なコンピュータ・シミュレーションの早期実現に向けて

Accelerating Complex Computer Simulations: Thinking beyond Ones and Zeros

本文:

2016年5月6日付の国防高等研究計画局(DARPA)による標記発表の概要は以下のとおり。

実世界の複雑な物理現象を捉える数学モデルを使用して、科学者や技術者達は理論を検証したり、(実験を行うにはコストがかかり過ぎ、理論的に解析するには複雑すぎる)システム・ダイナミクスの研究をすることができる。過去半世紀以上にわたってスーパーコンピュータがより高速化・高性能化するにつれ、このようなシミュレーションはかってないほどに正確で有益になってきた。しかし近年は最高のコンピュータ・アーキテクチャをもってしても、極度に複雑な設計最適化やそれに関連する問題の対応に必要なシミュレーション処理能力の要求を満たすことができなくなってきている。

DARPAでは上記課題に対処するべく、効率的科学シミュレーションのための高速計算(ACCESS)プログラムを発表した。本プログラムは、2015年に出された新たなハイブリッド・コンピューティング構想に関する情報提供要請の結果得られた示唆に基づくものである。

標準的なコンピュータ・クラスタは複数の中央処理装置(CPU)を備え、その各々が特定の問題部分に対処するようプログラムされている。このような従来型の設計は、複雑な流体動力学やプラズマの表現など大規模シミュレーションの中核となるような方程式を解くのには向いていない。偏微分方程式として知られるこれら臨界方程式では、運動、拡散、平衡などの基本的な物理原理を記述する。しかしそれらには、対象とする問題に関連して広範囲にわたる物理変数や空間スケールに関わる運動状態が含まれるので、個々のCPUでバラバラに分割して解くことには適さない。上記のような系の方程式向けに特別に設計されたプロセッサであれば、設計、予測、発見に役立つ新たな革命的シミュレーション能力の実現が可能になる。

この新規プログラムの一環としてDARPAは、旧式のアナログ方式が解決策の一部を成す可能性があるという、これまでの経験にあまりそぐわない前提の追究に関心を寄せている。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]