[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
大統領府
元記事公開日:
2016/07/26
抄訳記事公開日:
2016/09/09

量子情報科学の可能性の実現と超高性能計算の進歩

Realizing the Potential of Quantum Information Science and Advancing High-Performance Computing

本文:

2016年7月26日付のホワイトハウスの標記発表の概要は以下のとおりである。

量子現象と情報科学とが交差する部分での研究を進め、情報処理に量子の特性を活用することで、センシング、計測、ナビゲーション、通信、基礎物理学、シミュレーション、コンピューティングにおける新パラダイム、その他多数の領域で、独特の刺激的で有利な状況が生じる。国家科学技術会議(NSTC)がこのほど発表した報告書「量子情報科学の発展: 国家的な課題と機会」ではこのような刺激的な展望がまとめられている。

NSTC報告書を補完するものとして、エネルギー省(DOE)も「基礎科学、量子情報科学、およびコンピューティングの交点にある量子センサー技術」に関するパネル討論に関する報告を発表した。この報告では、前途有望な科学の動向、さらなる進歩の必要性、エネルギー省(DOE)のミッションに合致するアプローチの可能性について、研究界の専門家による展望が述べられている。他の省庁でも国立科学財団(NSF)の分野横断的な「量子情報科学における連携」に関するメタプログラムなど、量子情報科学に注目した活動がみられる。

他の関連科学技術イニシアティブとの強力な繋がりに加えて、量子情報科学の取り組みと国家戦略的コンピューティング・イニシアティブ(NSCI)との間の相乗効果が大きい。NSCIは2015年7月29日付の大統領命令により創設されたもので、超高性能コンピューティング(HPC)における米国の継続的な主導権を確保し、経済や科学的発見の為にHPCを最大限活用することを目的としている。

NSCIの主要戦略目標の1つは、今後15年間に将来のHPCシステムに向けた有効な道筋を確立することである。NSCIでは2つの経路で同時にこの目標を追究する。1つは現在の半導体技術が限界に達した後に従来のディジタル・コンピューティングの高速化を図る技術であり、もう1つは量子コンピューティングなどの(従来のHPCの範囲を超える問題に対処する)新しいコンピューティング・パラダイムである。NSCIの2つの経路に関して期待される選択肢のいくつかは、量子情報科学に依存するものである。

科学技術政策局(OSTP)ではこのたび「NSCI戦略計画」も発表した。本計画では、NSCI構想の実現に必要な技術的能力、計算基盤、人材キャパシティの創出に、政府の取り組みが不可欠となる領域に焦点を当てている。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]