[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州研究会議(ERC)
元記事公開日:
2016/07/26
抄訳記事公開日:
2016/09/13

ERCの研究がもたらす影響力に関する新しい報告書

ERC at ESOF 2016: New report reveals impact of ERC research

本文:

欧州研究会議(ERC)の2016年7月26日付のニュースで、標記の記事が掲載されている。以下にその概要をまとめる。
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2016年7月26日、マンチェスターで開催されているユーロサイエンス・オープンフォーラム(ESOF)で、独立的な予備調査が発表された。調査では、欧州研究会議(ERC)が助成するボトムアップ型の研究がすでに大きな影響を及ぼしていることが明らかになった。調査報告書で評価されたプロジェクトの70%超が、科学的に重要な成果をおさめたり、大きな進歩を遂げたりしている。この予備調査は、ERCは真の意味でハイリスク/ハイリターン型の研究に投資しており、経済や社会全体に多大な貢献をしている、と結論づけている。また、ERCの助成金は研究者のキャリアに対しても非常に好ましい影響を及ぼしていると報告書は伝えている。

ERCの科学評議会が委託したこの独立的な定性的評価では、優れた査読者が、スターティング助成金および上級助成金を受けて実施・終了している最初の199件のプロジェクトを分析し、総合的な影響力が非常に大きいことを明らかにした。プロジェクトの70%以上が科学的に重要な成果をおさめたり、大きな進歩を遂げたりしており、約25%が漸増的な貢献を果たしている。特筆すべき科学的成果を上げていないプロジェクトは、わずか4%であった。つまり、ERCが、科学評議会の意欲的な目標に沿って、ハイリスク/ハイリターン型のプロジェクトに資金を提供しているということが主たる結果として明らかとなった。分析では、プロジェクトの多くが学際的である点も強調されているが、これもERCのミッションと一致している。

さらに調査では、プロジェクトの影響が単に科学的なものにとどまらないことも明らかにしている。特定の主題に伴う制約を受けないこうした好奇心主導型の研究は、経済・社会全体にも恩恵をもたらしているとし、例えばプロジェクトの50%近くが、こうした側面ですでに何らかの明確な影響を及ぼしており、さらに10%近くが現在までに重要な影響をもたらしていると報告している。成果が現れるまでに時間がかかることも多いため、中長期的には研究成果の少なくとも4分の3が経済もしくは社会に影響を及ぼすだろう、と専門家では予想している。

報告書ではこの他、ERCの助成金が受給者のキャリアに非常に好ましい影響を与え、また彼らが研究チームの結束にも大きく貢献していることがわかったとして挙げている。

[JSTパリ事務所]