[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
共同研究センター(JRC)
元記事公開日:
2016/08/04
抄訳記事公開日:
2016/09/16

欧州委員会、北海海盆について初の包括的な漁業計画を提案

Commission proposes first comprehensive fisheries plan for the North Sea basin

本文:

欧州委員会共同研究センター(JRC)の2016年8月4日付のニュースで、標記の記事が掲載されている。以下にその概要をまとめる。
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2016年8月4日、欧州委員会は、北海に生息する底魚(底生魚。海底近くで生活し、捕食する魚類)について初の複数年計画を提案した。この計画は、これら水産資源が持続可能なレベルで捕獲されるようにし、資源保存を向上させ、意思決定を各地域にシフトさせ、漁師にとっての漁獲の長期的な予見性を高めることを狙いとしている。

初めてとなるこの包括的計画は、EUの漁業部門(2012年で8億5,000万ユーロ規模)の70%超をカバーしており、科学的データに基づいて漁獲量の制限を定め、漁業の管理状況を改善し、意思決定プロセスを漁師にとって身近なものにすることを意図している。

欧州委員会による今回の提案は、漁業科学技術経済委員会(STEFC、欧州委員会共同研究センター(JRC)が管理する専門家委員会)、および国際海洋開発理事会(ICES)からの科学的助言を受けて作成されている。JRCの研究者は、2015年にJRCが主催したSTEFCの専門家作業部会の会合で作成された北海管理計画(North Sea Management Plan)の定量的評価を実施した。この報告書はSTEFCの総会で検討され、助言の要請に応えるかたちで欧州委員会海事・漁業総局(DG MARE)に提出された。

今回の複数年計画は、EUに対し、最大持続生産量(Maximum Sustainable Yield:MSY)、すなわち海洋からの捕獲が可能で、かつ魚種資源を健全なレベルで維持できるような最大漁獲量を実現できる水準を上回るレベルで、魚種資源を回復・維持していくための漁獲制限を定めるよう要請している。計画では、これらの条件を考慮した漁獲制限の範囲が設定されており、EUには、北海の底魚資源の持続可能性が危機にさらされたときには速やかに措置を講じることが義務付けられる。

[JSTパリ事務所]