[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
ビジネス・イノベーション・技能省(BIS)
元記事公開日:
2016/07/12
抄訳記事公開日:
2016/09/29

2015年版英国イノベーション調査報告

UK innovation survey 2015: main report

本文:

ビジネス・イノベーション・技能省(BIS、当時)が2016年7月12日付で発表した標記調査報告の概要は以下のとおり。

●英国のイノベーション活動

・企業の53%(前回2013年の調査では45%)がイノベーションに積極的であった。
・大企業(従業員数250人超)の61%、中小企業(従業員数10~250人)の53%がイノベーションに積極的であった。
・企業の42%(前回は37%)が非技術イノベーションを活用し、27%(前回は21%)が新しいビジネス手法を活用し、19%(前回は18%)が職責遂行に新たな方法を用い、16%(前回と同じ)がマーケッティングの構想や戦略を変更した。
・企業の24%(前回は22%)が技術イノベーション(製品またはプロセス)を活用し、19%(前回は18%)が「製品イノベーション」を、13%(前回は10%)が「プロセス・イノベーション」を活用した。

●国、地域、セクターの各イノベーション活動

・連合王国を構成する4つの国すべてで、イノベーションに積極的であった。イングランドは54%(前回は45%)のイノベーション企業を擁してトップを走り、ウェールズはイノベーション企業が51%(前回は47%)で第2位、50%(前回は44%)のスコットランド、45%(前回は40%)の北アイルランドがこれに続く。
・地域間での変動幅は依然として大きいが、イングランドのほとんど全地域で大きな伸びが見られた。
・生産セクター、特に製造業がイノベーションに最も積極的であった(電気・光学機械製造業の71%、輸送用機械製造業の70%)。これに続くのが流通・サービス・セクター(金融仲介業の59%、不動産・レンタル・取引業の55%、卸売業の54%)であった。

●イノベーション環境・輸出の拡大

・イノベーション企業の40%(前回は41%)がイノベーション関連事業で他の関係機関(ほとんどが産業界)との協力協定を結んでいる。サプライヤーとの協力(67%)、民間セクターのクライアントとの協力(58%)、他企業との協力(44%)などである。
・イノベーション企業の21%(前回の23%から低下)が大学等高等教育機関と協力関係にある。また14%(前回の16%から低下)が政府等公共研究機関と協力関係にある。
・イノベーション企業は比較的輸出に積極的である。イノベーターの27%が輸出に取り組んでいるのに対し、非イノベーターは9%に過ぎない。
・公的資金支援を受けていると答えた企業は少ないが、その中で70%が英国中央政府からの間接支援を、34%が直接支援を、また17%が直接・間接両方の支援を受けていると答えている。

●投資、スキル、イノベーション防護策

・イノベーション関連に投資する企業の中で、先進機械・機器・ソフトウェアなどの「資産購入」(36%、前回は25%)、「企業内研究開発」(35%、前回は40%)が主な投資先。「あらゆる形態のデザイン」への投資は増加(前回の4%から9%に)、「外部研究開発の調達」は減少(前回の14%から4%に)。
・イノベーション企業は資質の高い(学卒または大学院卒の資格を有する)スタッフの雇用に積極的である。STEM学科の学卒または大学院卒スタッフの雇用は(非イノベーターの4%に比して)イノベーターの場合10%。他の学科のスタッフでは(非イノベーターの9%に比して)イノベーターは15%である。
・イノベーション防護策の使用を公式に報告した企業は少ない。「商品やサービスの複雑化」によるもの(大企業の15%、中小企業の10%)、「機密保持」によるもの(大企業の13%、中小企業の7%)などである。

●イノベーションの原動力および把握されている制約

・イノベーションの原動力となる主たる要因として、「商品やサービスの質的向上」をイノベーション企業の33%(前回は36%)が挙げている。これ以外では「時代遅れの製品や製法の取り換え」が32%(前回は31%)、「製品やサービスの範囲拡大」が29%(前回は28%)、「市場シェアの拡大」が26%などである。
・「環境への影響の低減」(9%)や「保健・安全性の向上」(12%)はイノベーションの原動力としては依然として最低の比率である。しかしこれに関して大企業は14%で中小企業の9%よりは積極的である。
・自己申告されたイノベーションに対する制約の上位5件はコストと市場に関するものである。挙げられた制約の中の最上位は「資金調達」で17%、そのほか「イノベーションの直接経費が高すぎる」が15%、「過剰な経済リスク」が14%、「投資コスト」が14%となっている。

[DW編集局]