[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
米国科学振興協会(AAAS)
元記事公開日:
2016/11/17
抄訳記事公開日:
2017/01/13

トランプ次期政権の科学政策を探る

AAAS Explores Science Policy in the Incoming Trump Administration

本文:

2016年11月17日付の米国科学振興協会(AAAS)の標記発表の概要は以下のとおりである。

米国経済の振興と米国民の生活向上を図るというドナルド・トランプ次期大統領の選挙公約には、科学、技術、イノベーション、教育に対する投資が必要である。AAASのラッシュ・ホルトCEOは11月17日付オンライン版「サイエンス」誌の記事でこう述べている。また同誌の11月25日付冊子版の記事では「気候変動、銃器による暴力、オピオイド依存症、漁業資源の枯渇などについて、研究によって判明した事実を、政府当局が無視することはできないことを明確にしなければならない」とも述べている。

さらに、次期政権の成否は、国際的な研究取り組みの支援、連邦政府全体で科学者を活用するための後押し、官・民セクターの科学研究を促進する税制措置、科学者による研究成果の共有促進がどの程度実行されるかに依存し、それが政治的な位置づけの試金石となるとしている。有識者の科学者または技術者を早期に任命することで、新政権は技術的専門性を必要とする予測しがたい事象に迅速に対処することができるとしており、そうすることがサイバーセキュリティ、先進製造技術、インフラ開発、外交などの多様な重要課題に取り組む場合に、当初から指針として役立つとしている。

次期政権の科学政策について各界には次のような見方がある。

・Research!America(医学研究を通じて健康向上を目指す非営利団体)のCEO、メアリ・ウーリー氏はトランプ氏の対応に楽観的で、トランプ氏は「広範な学術界全体にわたる研究開発投資」を求めており「科学、工学、医療、その他の領域への投資の取り組み」を表明しているとしている。

・John Zogby Strategies(国際的な世論調査会社)の創立者ジョン・ゾグビー氏によれば、世論調査ではイノベーション、技術開発、および研究のトップにある大学等のグローバル・ハブにおける世界的なリーダーとしてとしての米国の地位を維持する施策を、「大多数」の米国人が支持していることが分かっている。

・バイデン副大統領が率いる10億ドル規模のがん撲滅イニシアティブ(National Cancer Moonshot Initiative)やBRAINイニシアティブまたは抗生物質耐性に対する取り組みなど、オバマ政権の人気プログラムを次期政権が保持するかどうかは今なお不透明である。

・ホワイトハウスはプログラムの終了や規制の廃止を一方的に行うことはできない。たいていの場合、議会、州、地方自治体、関係機関、公衆の支持が必要になる。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]