[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
元記事公開日:
2016/12/29
抄訳記事公開日:
2017/02/07

2016年度の教育研究関係の重要なトピック

Das Bildungs- und Forschungsjahr 2016 in Zahlen

本文:

連邦教育研究省(BMBF)は2016年度の教育および研究に関する重要な数字を挙げ、概略下記のような報道発表を行った。

・過去25年間、再教育奨学金制度により12万5,000人の優秀な人材がキャリアアップのための支援を受けた。2017年から再教育奨学金は大きく増額され、最高額は現行の6,000ユーロから7,200ユーロへと20%の引き上げとなる。

・BMBFが助成する治安に関する研究の成果の一つである「無人飛行システムによる海難事故救援」プロジェクトによって、海難事故の際に時速200Kmで飛ぶことのできるドローンが開発された。救助を要する船舶の位置の特定や状況把握を速めることで救援部隊を支援することができる。

・ドイツ国内156大学が2016年から2020の間に学習条件および教育の質向上のため合計8億2,000万ユーロの補助金を受ける。

・4つの「エネルギー転換コペルニクスプロジェクト」が4月にスタートし、230の研究機関がこれに参加。このプロジェクトはBMBFの助成によるもので、今後10年間にわたり学界、産業界、および社会が共同でエネルギーシステム転換のための技術的、経済的な問題解決策と取り組む。

・連邦および州による女性教授プログラムにより既に500人の女性が教授職についている。2月にハンブルク応用科学大学で看護研究者が500人目の女性教授職となった。女性教授プログラムでは2008年以降大学における女性教授数を増やし、大学内の男女均等化のための構造を強化している。

・世界のマイクロエレクトロニクス市場が全体的に停滞しているにもかかわらず、産業エレクトロニクス市場の年間の伸びは約7%となっている。デジタル化の進展に伴いこの分野の重要性は増しており、特にドイツでは研究集約的なマイクロエレクトロニクスは基幹技術となっている。連邦政府はこのため2月に新たに「ドイツ製マイクロエレクトロニクス‐デジタル化の推進役」基本計画を決定。BMBFは特にIndustrie 4.0 、電気自動車、自動走行、持続的かつ効率的エネルギー供給、スマート医療技術等の分野で、マイクロエレクトロニクス研究を支援している。この支援のため、2020年までに約4億ユーロが用意される。

・2016年BMBFの委託により、企業3,000社を対象に、デジタル化が企業の教育訓練にどのような役割を果たすかについての初めて調査が実施された。その結果、今後3年間に企業活動のあらゆる場面においてデジタル機器の重要性が増大する、と大多数の企業が認識していることが分かった。これに応じた職業教育の改善のためBMBFは「職業教育4.0」の展開を推進する。訓練生にデジタルメディアの利用に対応した教育を行ったり、3Dプリンターあるいは介助ロボットといったデジタルインフラを備えた訓練施設を整備したりして、Industrie 4.0が要求する新しいレベルに対応させていかねばならない。

・BMBFは35年も前から既に動物実験に代わる手法の研究に関するのべ500件あまりのプロジェクトにファンディングしており、ドイツはこの分野で先駆的役割を担っている。細胞培養を利用して、人工的にヒトの皮膚を作成し、医薬品や薬品の影響をテストすることや、臓器の生理学的プロセスをシミュレートするコンピュータ・モデルを開発し、これによって医薬品研究における動物実験数の減少を図ることを目指している。

・グローバルな知の生産に対する欧州の割合は約30%である。ドイツは欧州最大の研究国としてこれに大きく貢献している。欧州研究圏(ERA)の目標は確実に達成されてきているとはいえ、デジタル化、政治的な変革、グローバルな競争激化等により、新たな重要課題に直面している。このためBMBFは秋にERAの将来およびHorizont 2020の後継プログラム検討にドイツがどのような立場で参加していくべきかの議論を開始した。

・各研究分野における最大50までのエクセレンス・クラスターが、連邦と州が決定した新たなエクセレンス戦略により2019年から助成される。連邦と州は新規に年間5億3,300万ユーロを拠出し、そのうち連邦は75%を負担する。

・連邦と州は今後10年間に新たな助成イニシアチブ「革新的大学(Innovative Hochschule)」に5億5,000万ユーロを投入する。目標は研究をベースとしたアイデア、知識、技術の移転振興である。技術移転とイノベーションは研究と教育と並び大学の「第三のミッション」と位置づけられている。

・2015年、ドイツの総研究開発費はGDPの3%となり、EUの目標を達成した。教育と研究は連邦にとって最優先事項である。研究開発支出は2005年以来60%以上増加し、また連邦の教育に対する支出も同時期に倍以上となっている。BMBFの2017年度予算も176億ユーロ、対前年比.7.6%、約12億ユーロのプラスとなっている。

[DW編集局]