[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
上院商務・科学・運輸委員会
元記事公開日:
2017/01/23
抄訳記事公開日:
2017/03/03

第115議会に提出する委員会の技術議題の概要

Thune Outlines Commerce Committee Tech Agenda for 115th Congress

本文:

2017年1月23日付の上院商務・科学・運輸委員会の標記報道発表では、同委員会のジョン・ツーン委員長が”State of the Net”のインターネット政策会議で講演し、第115議会に提出する同委員会の技術議題の概要を説明した旨伝えている。講演の要旨は以下のとおりである。

信じがたいことだが、我々が知るインターネットは既に30年代に入っている。もはや真新しいものではないが、この不可欠な技術は我々を取り巻く世界を変革し続けており、しばしば予期しない変革であったりする。

例えばモノのインターネット(IoT)は大きな経済的利益をもたらし我々の経済のあらゆるセクターの成長を牽引するであろう。現在世界中でインターネットに接続されたデバイスは約160億個あり、2020年までには接続デバイス数が500億から2,000億になると考える人もいる。マッキンゼーによれば、この爆発的成長は2025年までに年間6.2兆ドルの経済効果を生み出す可能性を秘めている。

IoTは、インターネットのような情報・通信技術が経済の基盤的部分を担うようになったごく一例である。米国の全ての雇用創出者が、いつどのようにインターネットが自らの事業の重要部分を占めるようになったかについて独自の経緯を語れるほどである。しかし、繋がったディジタル経済が膨大な経済的・社会的機会を創出しようとしている一方で、米国の法律は急速に進化するディジタルの状勢に追い付いていない。

ますます時代遅れになっている法律の下で、米国のビジネスや企業が適応したり成功したりできているのは、そのようなビジネスや企業の創造力によるものである。そのようなビジネスや企業が、法律の欠陥の影響がますます増大していく米国法の下でも、引き続き成果をあげ続けていくのは間違いないが、米国の企業や消費者は政府からの恩恵をもっと受ける資格がある。

第1に、インターネットそのものの成長を促進するべく通信法を最新のものにする必要がある。第2に、インターネットやその他のディジタル技術により可能となるイノベーションをより適切に反映するべく政府の政策の最新化を図る必要がある。

インターネットはディジタル世界における学習、活動参加、創造のプラットフォームである。ネットワークが堅牢で安全であれば、その分だけ国は繫栄する。つまり、米国のディジタル未来への投資と同時に、インターネットを統治する法律が整備されていることが必要である。

政府がディジタル・インフラへの投資に資することのできる方法の1つは、モバイルおよび固定ブロードバンド・ネットワークの構築を安価で容易にする方法を見出すことである。上院商業・科学・運輸委員会では、2020年までに超広帯域の無線周波数を商業的に使用可能にするべく、”MOBILE NOW”法と呼ぶ法制化を導入した。2020年までには次世代超高速モバイル・サービス(5G)が登場すると期待している。”MOBILE NOW”はまた、連邦所有地での無線インフラの構築を困難にしている多くのお役所仕事を簡略化する。さらに本法案では連邦政府支援の高速伝送路プロジェクトにブロードバンドの備えのある送電路の取り込みを促進し、インターネット・サービス構築の時間とコストの削減を図る。当委員会では”MOBILE NOW”法の今週後半での通過を期待しているが、このような法制化はネットワーク構築の推進に向けて議会ができることの手始めに過ぎない。

当委員会は今後も、ブロードバンドの展開を促進し、公衆が利用可能な帯域の拡大を目指し、米国全土での接続性向上を図るべく、引き続き法制化の提案をしていく。

過去の遺産である通信サービスから外れて、代って活力のあるインターネット・アプリケーションに向かっている世界にあって、連邦通信委員会(FCC)の役割は次第に小さくなってきている。これは必然的なことで、技術イノベーション等によってより競争力のある優れた副産物がもたらされる。しかしながら過去数年間FCCは、インターネットの針路設定に当たり消費者の真の要望よりも政令を優先させる強引な実力行使による政治的計画遂行を追求してきた。

ディジタル領域でこれに関連する委員会の対処方として、FCCの運営方式の近代化およびFCCが果たすべき任務の改革の両方がある。市場における基本的な問題解決により重点を置き、技術のイノベーションや進歩の方向性を指示することをあまり重要視しない現代的な規制機関を必要としている。

その他に党派を超えた合意達成を目指している領域として、オープン・インターネットの保護に関する法制化がある。インターネット企業、ブロードバンド・プロバイダ、エンドユーザが容易に理解できるような明解で合理的な規則が必要とされている。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]