[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)
元記事公開日:
2017/01/27
抄訳記事公開日:
2017/03/08

USAIDが世界的な開発課題への科学・技術・イノベーションの応用を加速

USAID Should Speed Application of Science, Technology, and Innovation to Global Development Challenges

本文:

米国ナショナルアカデミーズ(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)は、新しい報告書でUSAID(米国国際開発庁)に対して次のように提言している。

USAIDは、途上国が直面している課題に対して科学・技術・イノベーションの応用を加速させるための、国際的な主導者かつ仲介者となるべきである。そして、その際には、米国政府機関、途上国、公的研究機関、民間研究機関、米国内外の研究大学、その他の開発機関のリソースを活用する必要がある。

近年、USAIDは、個別の途上国において独立型プロジェクトを企画し、資金調達する伝統的な役割から、より広範で持続可能で費用効率に優れた効果を得るために関連組織や資源を調整する仲介者へと移行し始めている。このため、他の援助国・機関や援助受入国との適切なパートナーシップは、当該受入国およびグローバル開発目標の達成に不可欠である。

USAIDの最優先事項は、成功した援助事例の規模を拡大すること、援助受入国が自国の開発に科学技術を応用しうる能力を強化すること、そして、女性に参画と権限付与を促すような科学・技術・イノベーションへの投資を拡大させることである。

USAIDは、援助の持続可能性と経済効果を改善しつつその影響を拡大するために、成功した援助プロジェクトの規模拡大を重要な優先課題とするべきである。規模拡大においては、プロジェクトの商業化が含まれる可能性があるため、民間セクターのアドバイザーやパートナーの参画が望まれる。

また、USAIDは、援助受入国が自国の開発に科学・技術・イノベーションを応用するための制度的能力強化、そして、当該国内外の大学等の高等教育機関や専門学校における人材育成をすべきである。具体的には、受入国における研究能力の向上、科学機関の支援、規制体制の強化など、幅広いプログラムを開発すべきである。

最後に、USAIDは、女性に関わる科学・技術・イノベーションへの投資を拡大すべきである。女性の機会を拡大は、教育、保健、農業の改善や技術と経済的機会へのアクセスを通じてより良い生活環境をもたらす。そして、女性のエンパワーメントは、社会的課題に対処する能力を急激に改善させる可能性がある。USAIDは、プロジェクトサイクルのすべての段階においてジェンダーを考慮すべきである。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]