[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
財務省
元記事公開日:
2017/02/14
抄訳記事公開日:
2017/04/06

国立サイバーセキュリティ・センター開所に際しての財務大臣スピーチ

Chancellor's speech at the National Cyber Security Centre opening

本文:

財務省の2017年2月14日付標記発表では、フィリップ・ハモンド(Philip Hammond)財務大臣が国立サイバーセキュリティ・センター(NCSC)開所に際してのスピーチで述べたサイバーセキュリティに関する発言内容を報じている。概要は以下のとおり。

ネットワーク接続の拡大はデジタル経済の発展を可能にするが、一方で脆弱性の発生源でもある。我々が遭遇するサイバー攻撃は、その頻度、深刻度、複雑度がますます大きくなっている。NCSCは開設の当初3か月ですでに188回の攻撃対応を行使している。SonyやTalkTalkなどで注目を浴びた事件が、たった一回のサイバー攻撃が与える被害の甚大さを物語っている。

したがってこの新設のセンターとその業務は極めて重要である。このセンターの任務遂行方式に関して重要な点が3つある。

第1に、国の重要インフラへの大規模な攻撃に対する防護に重点を置くだけでなく、日常的な悪意に満ちたサイバー活動に対する安全保障能力を高めることである。最も劇的な脅威は国家が後押しする高性能・高機能の攻撃であるが、産業界や一般市民が遭遇するごく普通の脅威は高機能ではないが不特定多数をターゲットとした攻撃である。英国企業の83%がオンライン状態にあり、英国の平均的な家庭は8個のデバイスをインターネットにつないでいる。このため、電子データの窃盗からオンラインでの身代金要求に至るまで、日々の攻撃が膨大なものになる可能性を孕んでいる。そこでNCSCは、市民・産業界と情報・セキュリティ機関とを一体的につなぐ唯一無二の重要な役割を果たす。

第2は連携(partnership)を重視することである。世界最強の英国の情報・セキュリティ機関と世界最強の英国のデジタル・セクターを一体的につなぎ、英国の安全を堅持するべく本センターが産業界と連携することである。過去12か月間に大企業の65%がサイバー破壊やサイバー攻撃を報告している。しかし10企業中9企業がサイバー破壊に対するインシデント管理計画すら持ち合わせていない。サイバー脅威の規模の拡大・激化に合わせて、企業はその対処方を強化する必要がある。

第3に、政府は上記を満たすために必要な資金を投入する用意がある。前回の国会でサイバー防衛強化に8億6,000万ポンドを投入した。また今国会ではサイバー攻撃に対するさらなる装備増強を図るため、19億ポンドを追加投入している。この他サイバー空間で英国に危害を加えようとする者を阻止したり、必要ならば報復措置を行使したりと、攻撃的なサイバー能力の開発も行っている。

[DW編集局]