[本文]

国・地域名:
中国
元記事の言語:
中国語
公開機関:
中国科学報
元記事公開日:
2017/02/18
抄訳記事公開日:
2017/04/12

国家自然科学基金委員会:2016年度基礎研究の主要な進展と科学基金資金援助の成果

2016年度基金委基础研究主要进展与科学基金资助成效

本文:

2017年2月18日付の「中国科学報」ネット版は、「国家自然科学基金委員会:2016年度基礎研究の主要な進展と科学基金資金援助の成果」について報じた。本記事ではその概要をまとめる。

2016年に国家自然科学基金委員会が全国の2,309機関(大学等含む)から受理したプロジェクトの申請件数は182,334件で、国家財政の投入は248.66億元(約4200億円)で、資金援助による各プロジェクトは41,184件に達し、基礎研究の基盤を支援するばかりでなく、重点領域における優先配置なども強化している。ここ10年間(2007年1月1日〜2017年1月4日)で中国が発表した国際科学技術論文は計172.44万編で、世界第2位にランクされ、論文の総引用数が1,508.71万回に達し、世界3位に上昇した。各学科(学術分野)の最も影響力を持つ国際科学ジャーナルに掲載された中国の論文数量が連続6年間で世界第2位にランクされ、世界全体の15.2%を占め、そのうち、54.6%の論文が科学基金の資金援助により産出された。この5年間で、中国が発表した世界で高い影響力を持つ論文の数は18.1%を占め、そのうち、国家自然科学基金による資金援助の論文数が世界全体の11.3%を占め、中国全体の62.4%を占めていた。

以下、国家自然科学基金委員会の支援による主な研究成果の例である。

1.量子プローブの開発により単一分子核磁気共鳴画像を実現した:中国科学技術大学の杜江峰チームはダイヤモンド量子プローブと最新の量子制御技術を用いた自主研究開発した設備で、単一分子の核磁気共鳴を実現した。

2.定常状態の磁場閉じ込め核融合研究が世界で先頭に立つ:中国科学院合肥物質科学研究院の研究チームが「先進型超伝導トカマク実験装置(EAST)」で、摂氏5,000万度を超える超高温長パルスダイバータ・プラズマガス放電を102秒間持続させることに成功した。

3.石炭ガス化により低炭素型のアルケンの直接生成が重大なブレークスルーを遂げた:中国科学院大連化学物理研究所の包信和、潘秀蓮研究チームが石炭ガス化における合成ガスを用いて、高選択性の新型複合触媒作用によって一次反応で低炭素型のオレフィン系炭化水素の直接生成することに成功した。

4.合成ガスによりアルケンの直接製造が重大なブレークスルーを遂げた:中国科学院上海高等研究院が新たな触媒を開発し、高選択性合成ガスによりアルケンの直接製造を実現した。

5. スプライソソームの構造生物学において持続的に重要な進展を遂げた:清華大学の施一公研究チームが2015年に高解像度のスプライソソーム(spliceosome)三次元構造図を取得し、2016年に真核生物スプライソソーム構造生物学における重要な進展を遂げ、RNAスプライシング研究領域の発展を大いに推進した。

6.マイクロ・ナノ構造イメージング技術が高解像度の地上観測に重要なサポートを提供する:中国科学院光電技術研究所の羅先剛研究チームは長期に渡り電磁波とマイクロナノ構造の相互作用及び応用研究に力を尽くし、その開発した柔性マイクロ・ナノ構造イメージング技術が次世代空間静止軌道の地上観測イメージングのキー技術として機能を発揮し、複数の重大プロジェクトの実施への技術を提供した。

7.電磁メタマテリアルの研究開発が重要なブレークスルーを遂げた:東南大学の崔鉄軍研究チームは情報科学の観点からメタマテリアルの研究を行い、2016年に世界で初めてデジタル符号化と現場でプログラムが可能なメタマテリアルの開発に成功した。

8.ウイルスワクチン分野の研究が重要な進展を遂げた:北京大学周徳敏、張礼和研究チームがインフルエンザウイルスを模型とし、人工的にウイルス複製の制御技術を発明し、ウイルスを直接ワクチンに転化させた。同研究成果はウイルス感染病の予防と治療に重大な医学的価値と社会的意義を持っている。

9.深層・超深層石油ガス層破砕酸処理の高効率な方法が明らかに:西南石油大学の郭建春チームが深層・超深層石油ガス層における超高温・超高圧等の難題研究を実施し、深層石油ガス層の破砕技術改造の難題を解決した。

10.応急管理領域における「中国方案」を提出した:中国の科学者が突発事件に対する応急管理の理論と技術において重大なブレークスルーを遂げ、広範におよぶ応用が展開された。

[JST北京事務所]