[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
上院商務・科学・運輸委員会
元記事公開日:
2017/03/10
抄訳記事公開日:
2017/04/28

米上院商業・科学・運輸委員会が2018年度予算案に対する見解を公表

Views and estimates of the Committee on Commerce, Science, and Transportation regarding the FY 2018 budget resolution

本文:

2017年3月10日付で米上院商業・科学・運輸委員会は、2018年度予算決議案に対する同委員会の権限内の事項に関する同委員会の見解と評価を記した上院予算委員会に宛てたレターを公表した。政府は海洋大気局(NOAA)、航空宇宙局(NASA)など上院商業・科学・運輸委員会権限内の多数のプログラムに深刻な影響を及ぼす厳しい削減を提案している。同委員会の見解は対象となる機関ごとに示されている。主要な機関について以下に抜粋して記す。

・海洋大気局(NOAA)

NOAAの業務では商業的活動と公共の安全の両方を直接支援する。ファンディングの制約は必要不可欠な気象予報、海図、漁業データなどのNOAAの製品やサービスに由来する経済的価値を低下させる。商業委員会ではNOAAのインフラ、研究、サービスを支援すべく、いくつかの法制化提案を策定する予定である。それ故に当委員会は2018年度にベースラインを超える2億7,000万ドルのNOAAに対するファンディングを支持するものである。

NOAAは多様なミッションを遂行するために衛星、船舶、航空機などの観測インフラに依存している。次世代の極軌道衛星への継続投資は、数値計算による気象予報の支援に必須である。このようなニーズを満たすため、ベースを超える2億300万ドルの増額を要求する。

加えて、NOAAの16艘の海洋観測船団や9機の航空機は老朽化が急速に進んでおり、信頼性の劣化により現在および将来のニーズを満たすべきインフラの能力が低下している。当委員会は追加される航空機に搭載すべき必要機器パッケージの調達・装備に2018年度予算で6,200万ドルを認可するよう予算委員会に強く要求する。

・国立標準・技術研究所(NIST)

NISTは近年、先進製造技術国家プログラム事務局を立ち上げて、全米の製造技術研究機関を統括している。米国の競争力促進を図る本プログラムは産業界および学術界の支援するところであり、当委員会は継続的なファンディングを支持する。

初期の報道によると、政府は商務省(DOC)全体で約20%の削減を要求する可能性がある。このような削減は、競争力、イノベーション、セキュリティの向上促進を図るべく、NISTで進行中の極めて重要な業務を破壊するものである。当委員会は2018年度はNISTに対して10億1,300万ドルのファンディング、すなわちNISTのベースラインを1,500万ドル超える増加を提言する。

・米国航空宇宙局(NASA)

再使用型宇宙輸送システム(SLS)およびオリオン深宇宙探査システムの初期試験飛行、国際宇宙ステーション(ISS)への商用クルーの打ち上げ開始、ジェイムス・ウェブ宇宙望遠鏡の初回打ち上げ、そのほか太陽、地球、火星や、他の星を周回する惑星を調査する多数の重要ミッションを擁して、2018年はNASAにとって歴史的な年になる見込みである。一方でNASAは低騒音超音速飛行の実証試験のような航空機の進歩のほか、VASIMRプラズマロケットや深宇宙居住環境などの次世代宇宙技術も、絶えず進展を図っている。

当委員会は2018年度はNASAに対して205億ドルのファンディング・レベルを要求する。これは2017年度にNASAに認可されたレベルより5%の漸増となる。ベースラインの予測値からは3.5%の増である。

・国立科学財団(NSF)

政府が提案する裁量支出に対する削減は10~20%と報じられているが、すでに停滞している研究予算にとっては壊滅的である。NSFに対するファンディング増は、将来のSTEM人材の育成、研究インフラの構築、最前線にいる米国の科学・工学研究の促進、新たな発見やイノベーションの主導を目指すものである。このような投資は全体として科学と社会全体に利益をもたらす。当委員会はNSFの真の成長を強く支援すると同時に、2018年度はNSFに対して少なくとも80億ドルを充てるよう提言する。これはNSFのベースラインより2億7,900万ドルの増になる。

・科学技術政策局(OSTP)

OSTPは省庁の研究の調整や複数省庁にまたがる国家的研究目標の特定・実装に重要な役割を果たす。

ここ数年、商業委員会はOSTPに対して、連邦政府のSTEM人材の多様化、商用の宇宙活動を監督する適切な官庁の特定など、多くの重要な任務を課している。国防、公衆衛生、経済成長、科学における米国のリーダーシップに対する科学技術の重要性を考慮に入れて、当委員会はOSTPに対して2018年度は600万ドルを充てるよう提言する。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]