[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
米国科学振興協会(AAAS)
元記事公開日:
2017/04/21
抄訳記事公開日:
2017/06/13

ホルドレン氏、科学を本来あるべき場所に戻すための道筋について語る

Holdren Outlines Ways to ‘Restore Science to Its Rightful Place’

本文:

4月21日付けの米国科学振興協会(AAAS)による標記記事の概要は以下のとおりである。

4月22日の「科学のための行進」の前夜のスピーチで、前ホワイトハウス科学顧問であったホルドレン氏は、「科学の役割を守るために、科学コミュニティは、エビデンスに基づいた政策、科学の公正性の保護、一般市民による科学へのアクセスの必要性について、もっと効果的に声を上げるべきだ」と述べた。

また、2009年の就任演説で述べた「科学を本来あるべき場所に戻す」という言葉に基づきオバマ前大統領が進めた政策やイニシアチブについて触れた後、経済的繁栄、公衆衛生、持続可能な環境、そして国防等を進展させるための科学の能力を保持するために必要なことについて述べた。

オバマ大統領は、科学技術顧問の役割を重視し、気候変動の影響を緩和しつつ米国がその影響に備えるための計画を導入し、ガンや脳研究といった優先事項に取り組む医療研究のイニシアチブを立ち上げ、科学的な問題に関する国際連携に取り組み、科学技術教育を進めるためのプラットフォームとしてホワイトハウスを活用した。

一方で、トランプ大統領の2018年度の予算案では、環境保護庁の科学プログラム、NASAとの気候変動関連の科学研究プログラム、海洋大気局へのファンディングが大きく削減あるいは廃止され、エネルギー省の研究開発プログラムは半分に削られる見込みである。

このような状況に対しホルドレン氏は、たとえば、科学者やエンジニアに対し、気候変動、海洋や陸地の保全、北極圏の研究の継続、そして小中学校におけるSTEM(科学・技術・工学・数学)教育に投資することの重要性について、労働時間の10%を用いて政治家や一般市民を教育するように求めた。

また、科学者が「科学のための行進」に参加することで、科学者は自分たちの職を心配する利益団体の1つになってしまうのではないか、という懸念に対して以下のように答えた。

科学者はすでに科学的探究という興味に取り組む利益団体の一つである。科学研究に対するファンディングが、議会等が主導的な役割を果たす政治プロセスにより決められる以上、科学はすでに政治的なものである。科学者は、彼らの職ではなく彼らの仕事の成果が失われることを心配する団体である。

政治的決断における争点に対し大多数の人よりも深く理解している科学者は、他の集団よりも政治に対し声を届ける権利と責任を有している、と彼は加えた。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]