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国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国立衛生研究所(NIH)
元記事公開日:
2017/05/02
抄訳記事公開日:
2017/07/13

税金の管理責任の適正化を目的としたNIH助成金の新方式

New NIH Approach to Grant Funding Aimed at Optimizing Stewardship of Taxpayer Dollars

本文:

2017年5月2日付の国立衛生研究所(NIH)による標記発表の概要は以下のとおりである。

納税者からの資金の適正な管理責任を確実に果たすための新方式を提案する。このイニシアティブには、NIHの研究投資の効果を評価するにあたり強力な新方式を活用することで、与えられた資金によりNIHの優秀な研究要員が最善の成果を生み出せるようにする狙いがある。この戦略は予算のレベルに関係なく遂行する。

過去数年間NIHは危険なほどに不安定となっている生物医学研究要員の問題に対処すべく行動してきた。様々なプログラムや施策を通してキャリア初期の研究者に対する助成金の減少傾向を食い止めることに進展はあったものの、このようなグループを支援するNIH助成金の割合は依然として変わらない。残念なことにキャリア初期研究者向けに獲得した支援額はキャリア中期の研究者を支援するNIH助成金の減少により相殺されている。助成金の割合が増えているのはキャリア後期の研究者向けのみである。

さらにNIH助成金の配賦分布はかなり歪んでいる(非対称である)。NIHが助成した研究者の10%がNIH助成金の40%以上を受領している。もしこれが成果を得る方法として最善の方法であることをデータが示しているのであれば全く問題ない。しかしNIH等が実施した分析によると、研究成果の増加率は研究者一人当たりの支援額の増加につれて次第に減少している。基本的に、主幹研究者が別のプロジェクトの管理、要員管理、助成金応募の管理に時間を取られるほど、これらの研究者が自らの研究に割くことのできる時間は少なくなる。したがって生産性への寄与は低下し始める。また科学的発見は本質的に予測不可能であるから、少数の研究所に資源を集中させるよりは、多様な生物医学上の問題に関わっているより多くの研究者を支援することで、重要な発見の数を最大化できる、と考えることは理に適っている。

NIHは、NIH助成金の応募者/受領者と協力して、NIHが支援する研究を通じて個々の主幹研究者に与えられるNIH助成金の支援総額を制限することで、研究能力の均衡を取り戻すための新たな評価手段を実装する。これを「助成金支援指標(Grant Support Index: GSI)」と称する。GSIは助成金支援の評価手段で、それぞれの領域の研究にはそれぞれのレベルのコスト負担が生じるので、単に助成金の金額に重点を置くものではない。GSIでは、各種助成に種別、複雑さ、規模に基づく特定のポイント値を割り当てる。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]