[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
英国王立協会
元記事公開日:
2017/04/25
抄訳記事公開日:
2017/07/14

機械学習には慎重な管理が必要

Machine learning requires careful stewardship says Royal Society

本文:

王立協会の2017年4月25日付標記発表では最近公表された機械学習(machine learning)に関する報告書について述べているところ、概要は以下のとおり。

AIを基盤とする技術の進歩から社会・経済が利益を受ける可能性の多くは、これらの技術が発展する環境に全面的に依存する。機械学習がもたらす暮らしや生活の変化に国民や企業が適応しそれを活用できるようにするためには、最も大きな影響を受ける人(または集団)のは誰なのか、利益はどのように配分されるのか、成長のチャンスが存在する場所はどこかについて理解することが、効果的な関与の仕方を考える上で最も重要である。このほど発表された報告書「機械学習:実例によって学習するコンピュータの能力と将来性」では、この技術による利益が広く受容されるようにするための「慎重な管理」の環境を創出するべく、今後5~10年間にわたって多くの重要領域で次のような措置を求めている。

・あらゆるレベルでの能力開発を支援すること
現状では英国民の23%がデジタル・スキルを欠いている。そこで、義務教育から大学に至るまで、さらには職場において、あらゆるレベルでのデジタル・スキルの育成、理解の増進を図る。政府は修士課程における産業界・研究界向けの機械学習に通じた人材育成に対する投資の必要性を検討すべきである。機械学習分野における次世代の研究リーダーへの投資を目的としたPhD(博士)レベル以上へのさらなる教育が緊急に必要である。

・機械学習を活用する機会を創出すること
英国の産業戦略に機械学習を組み込み、企業が機械学習の能力を最大限活用できるようにする。また、社会的・倫理的懸念への対処の分野を含む機械学習の新たな研究を支援する。

・機械学習を支援するデータ環境を創出すること
いま地上にあるデータの90%はこの5年の間に作られている。(このような急激なデータ増加を鑑みて)オープンデータおよび安全なデータ共有を英国の実績に基づいて継続的に構築する。医療データや商業的に取り扱いに慎重を要する産業データなどオープンできないデータへのアクセスに価値がある場合は、そのような環境に適ったデータ共有の促進に適合する枠組みや協定を確保する。

・ガバナンス環境を構築すること
機械学習への期待や利益の配分方法についての公開討論を支援し、データガバナンスに関する新たな枠組みを作る。

[DW編集局]