[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
共同研究センター(JRC)
元記事公開日:
2017/06/14
抄訳記事公開日:
2017/08/08

2016年度版EU研究イノベーションの展望を発表

Research and innovation across EU countries – challenges and developments

本文:

共同研究センター(JRC)の2017年6月14付のニュースで、標記の記事が掲載されている。以下にその概要をまとめる。
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欧州委員会共同研究センターの研究・イノベーション・オブザーバトリー(Research and Innovation Observatory:RIO)はこのほど、2016年版の報告書を発表した。RIO報告書では、各国の研究イノベーションシステムの進展が評価され、主な課題が明らかにされている。

EU加盟27か国を対象としたこの報告書の最大の目的は、ヨーロピアン・セメスターにデータを提供することによりEUの政策決定手続きに情報を与えるとともに、欧州研究領域(ERA)の進捗をモニターすることであるが、欧州委員会の政策方針については、暗示も予断もしていない。報告書はまた、加盟国におけるポリシー・ラーニングの支援ツールにもなっている。

2016年版は、2016年の主要な政策策定(特にスマート・スペシャリゼーションを重視したもの)や経済的状況、投資額を含めた研究開発の傾向など、各国の研究イノベーションシステムをよりよく理解するために最も重要な情報を提供できるように合理化されている。また、政策への反応や評価に関する情報とともにイノベーションに関する課題が示されている。

報告書によると、EUの多くの国の研究イノベーションシステムにおいて、産業界の協力と公的資金による研究成果の商業化が大きな課題となっているが、人的資源に対する需要も研究イノベーション政策で重視すべき点になりつつあることが示された。

研究イノベーションに対する公共部門および民間部門の資金供与の増加は、イノベーション・リーダーや小規模なイノベーター双方にとって論点となっている。また、小規模なイノベーターは、評価法やモニタリングの強化を含む効果的な研究イノベーション・ガバナンスを確立するために継続的な努力を続けていることも報告書で示された。欧州の研究イノベーションシステムは、中小企業や国内企業によるイノベーション創出強化にさらなる力点を置き、起業家精神を育成し、新たな知識集約部門の企業や成長力の高い若く革新的な企業への介入を目指す、と結論付けている。

[JSTパリ事務所]