[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
米国科学振興協会(AAAS)
元記事公開日:
2017/07/31
抄訳記事公開日:
2017/09/19

AAAS CEOホルト氏と科学界を代表する15人の科学者が、EPA長官プルーイット氏に気候科学に関する会談の場を要請

AAAS CEO Rush Holt and 15 Other Science Society Leaders Request Climate Science Meeting with EPA Administrator Scott Pruitt

本文:

7月31日付、米国科学振興協会(AAAS)の標記記事の概要は次のとおりである。

AAAS 最高経営責任者(CEO)ホルト氏と科学学会を代表する15人の科学者が、米国環境保護庁(EPA)長官プルーイット氏と気候科学について話し合いたいと要請している。これはプルーイット氏が気候科学に取り組むにあたり、「赤組・青組」方式を設けたいと報告書の中で述べたことに対しての要請である。(「赤組・青組」方式とは軍で用いられる言葉で、攻撃側を赤組、攻撃される側を青組として行う戦闘演習)

プルーイット氏に宛てたその要請(手紙)は次のように、気候変動に関する科学的なコンセンサスを再確認するものである。

「各科学分野では、現在進行中の研究、テスト、評価、議論が、定期的に行われている。ピア・レビュー自体、継続的に科学者が研究結果を発表し、挑戦し、エビデンスに基づき改良していく手段である。実際、科学は多次元で、「赤組・青組」方式を伴う競争過程であり、それにより、科学者や研究チームはつねにお互いの発見を強靭なものにしようと切磋琢磨しているわけである。現在の気候変動についての科学的理解は過去何十年もかけたこのような作業に基づいており、米国内外で、包括的で詳細に評価されたアセスメントと共に成り立ってきているものである。

上記のような気候科学を反映して、昨年31の科学学会が、2009年以降の気候変動に対する現在の科学的コンセンサスをまとめたレターを公表している。それを読み、また、米国第一の科学機関である全米科学アカデミー(NAS)が出した「米国の気候選択(America’s Climate Choices)」も読んでいただきたい。

もちろん、気候科学はほかの科学分野と同様、いつも変化している分野であり、知識はつねに進歩している。データの解釈、方法論、発見についてしっかりとした議論は日々なされている。科学というのはこのようにして進んでいくものである。しかしながら、政策立案者が(政党に関係なく)科学的な結論に対抗する口実として政策的不一致を使えば、科学の高潔性は保たれない。

長官より提案のあった「赤組・青組」方式について、長官の意見をより理解するために、一堂に会し、気候科学について話し合い、この分野の先端知識がどのようなものなのか、これまでに培われてきた知識がどのようなものなのか、を議論する場を設けて欲しい。」

[DW編集局+JSTワシントン事務所]