[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
研究・イノベーション総局
元記事公開日:
2017/10/04
抄訳記事公開日:
2017/12/28

ノーベル賞受賞の研究を支えるEUファンディング

EU funding supports Nobel Prize-winning discovery

本文:

欧州委員会(EC)研究・イノベーション総局の2017年10月4日付標記発表の概要は以下のとおり。

2017年ノーベル物理学賞の背後には、欧州委員会のファンディングを受けた9名のPhD学生による発見への関与がある。EU支援によるGraWIToN ITN プロジェクト(EUの負担額は約367万ユーロ)に関係したこの9名は、2015年の初めての重力波観測後に出されたオープンアクセス科学論文「連星ブラックホール合体からの重力波観測」に署名のある20か国1,000人の科学者の一部である。この重力波の検出は2つのブラックホールの衝突に起因するもので、13億年かけて米国のLIGOの重力波検出器に到達した。

ノーベル物理学賞は「LIGOの検出器および重力波観測に決定的役割を果たした」3者に授与されたが、データの解析は米国およびイタリアの重力観測施設において重力波研究に従事するLIGOおよびVirgoの国際協力チーム所属の研究者らによって実施された。

2017年ノーベル化学賞は、生体分子の画像化が簡素化・向上するクライオ電子顕微鏡法の開発で ジャック・ドゥボシェ(Jacques Dubochet)、ヨアヒム・フランク(Joachim Frank)、リチャード・ヘンダーソン(Richard Henderson)の3氏が受賞した。そのうちの2氏、ドゥボシェ氏とヘンダーソン氏は、EUが資金支援する研究プロジェクトに参加している。(http://ec.europa.eu/research/index.cfm?&na=na-041017-1&pg=newsalert&year=2017

現在、ドゥボシェ氏はローザンヌ大学の名誉教授職にあり、またヘンダーソン氏は、ケンブリッジにあるMRC分子生物学研究所のプログラム・リーダーを務めているが、両氏は以前ともにFP6およびFP7を通じてEUの研究資金を得てプロジェクトに参加していた。例えばドゥボシェ名誉教授は、EUが1,000万ユーロを支援した3D-EMプロジェクトに参加していた。このプロジェクトはタンパク質複合体や細胞超分子構造の研究に必要な新たな電子顕微鏡技術の開発に重点を置いていた。一方、ヘンダーソン教授は、構造生物学研究のインフラ構築を目的としてEUによる450万ユーロのファンディングを受けたINSTRUCTプロジェクトに参加した。

[DW編集局]