[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)
元記事公開日:
2017/10/12
抄訳記事公開日:
2018/01/12

「クリーン成長戦略」の発表

The Clean Growth Strategy

本文:

ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)の1017年10月12日付標記発表では、クレール・ペリー(Claire Perry)気候変動・産業担当大臣による「クリーン成長戦略」に関する声明文を発表している。声明文の概要は以下のとおり。

政府はこのほど、排出削減を図る一方で、消費者向けのコストダウンを維持し、良質の雇用を創出し、経済の成長を図る高い目標を持った「クリーン成長戦略」を発表した。これは政府の最新の産業戦略の重要な一要素を成すものである。クリーン成長によって、エネルギー料金の引き下げや大気の質の向上から、新技術の支援や質の高い雇用の下での収益力の向上に至るまで、人々の生活の真の向上を図る。

英国はすでに、温室効果効果ガスの排出を1990年レベルから80%以上削減するという法的に縛りのある2050年目標に向けて大きく前進している。第1期炭素対策予算(2008年~2012年)の排出削減目標を予算レベルで1%超えており、2013年~2022年をカバーする第2期および第3期ではそれぞれ5%および4%くらいは上回る見通しである。

暫定的な統計の示すところによれば、英国の2016年の排出量は1990年より42%低く、前年を6%下回っている。同じ時期に英国のGDPは1990年から67%伸びている。このことは排出削減を進めながら、強い経済成長が達成できることを示している。これを一人当たりでみると、英国はG7の他のどの国よりも速く排出削減が進んでおり、この期間の国民所得の伸びにおいてもG7グループをリードしている。

英国の低炭素セクターはすでに23万人以上を直接的に雇用しており、その他サプライチェーンを通じて20万人を雇用している。議会の気候変動委員会に報告された分析によると、低炭素経済により2015年~2030年にかけて年あたり11%成長する可能性がある。

これまでは堅調に成果をあげてきたが、これからが重要である。「クリーン成長戦略」では、ビジネス、住宅建設、輸送、電力、自然環境、公共セクターなど、経済および国全体にわたる政策・提案に着手する。低炭素イノベーションはこのようなアプローチの中核にあり、2015年~2021年の間に政府は25億ポンドを投資する。これは、英国の科学・研究・イノベーションに対するほぼ40年間で最大の公共支出増の一部を成すものである。

※BEISの2017年11月8日付の下記記事では英国産業界の炭素排出削減に対する政府ファンディングの対象として次の4件を挙げている。
https://www.gov.uk/guidance/funding-for-low-carbon-industry

・英国産業の炭素排出削減イノベーションおよび炭素の捕捉・利用・貯留コストの引き下げ
–政府、Innovate UK、各研究会議、BEISの全体で産業研究・イノベーションに約1億6,200万ポンドを投資する予定である。

・炭素の捕捉と活用(CCU)実証試験
–BEISはCCU実証試験プロジェクトの設計・構築に最大2,000万ポンドを割り当てる。

・工業燃料の低炭素代替燃料への転換
–クリーン成長戦略では、化石燃料の使用からバイオマス、水素、クリーン電力などの低炭素燃料への転換を開始する産業界のニーズを重視している。2030年以降、産業界の低炭素燃料への転換を大幅に規模拡大する必要がある。政府は今後数か月のうちにコンペティションを開始して最大2,000万ポンドを割り当てて、一定範囲の技術が2030年以降利用可能となるように、燃料転換プロセスおよび技術への早期投資を促進する。

・産業エネルギー効率化促進策
–エネルギー効率化技術におけるイノベーションを支援するため、政府は産業エネルギー効率化促進策として、今後4年間に最大920万ポンドを投資する。

[DW編集局]