[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)
元記事公開日:
2017/12/21
抄訳記事公開日:
2018/02/14

ITERからの撤退により国際的な核融合エネルギー開発から米国が孤立する恐れ

Withdrawal from ITER Could Isolate U.S. Scientists fromInternational Effort on Fusion Energy, New Report Says

本文:

12月21日付けの全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)による標記記事の概要は以下の通りである。

NASEMは、米国における磁気核融合研究の現状と可能性を検証し、この分野の長期戦略に関するガイダンスを提供する2段階調査の第1弾となる報告書を取りまとめた。この報告書において、国際的な燃焼プラズマ実験であるITERからの撤退という米国の決定は、米国の研究者を国際的な取組みから孤立させ、このため、新たに国内での核融合研究の推進が必要となると述べている。その詳細は以下のとおりである。

これまで、米国エネルギー省(DOE)の核融合エネルギー科学プログラムは、燃焼プラズマ研究をリードしてきた。例えば、理論および計算モデルは、プラズマの制御、プラズマ閉じ込めの予測および融合エネルギー出力の向上をもたらしている。また、燃焼プラズマ科学の全体的な理解も同様に進歩している。米国が引き続きITERに参加すれば、米国の科学者も発電所規模での核融合エネルギーの研究に大きな貢献をすることが期待される。

現在、ITERプロジェクトに参画している他国(中国、EU、インド、日本、韓国、ロシア)は、核融合エネルギー実証のための国家戦略計画を策定しているが、米国にはそのような計画はない。長期的なビジョンがなければ、米国は、他の参画国が核融合エネルギーを供給するために必要な科学技術を進展させるに伴い、追い抜かれるリスクを克服できない。米国は、国家計画を策定することにより、戦略的な資金調達の決定と国家プログラムの優先順位付けを行い、商業的に実現可能な核融合の設計に向けたイノベーションを促進することができる。

本報告書ではまた、ITERプロジェクトに加えて、核融合炉システムを改善し完全なものにするためにより多くの研究が必要であり、これの研究により、小型化、低コスト、大規模電源につながる革新的なソリューションを創出するような融合エネルギーデバイスの開発が可能になると述べている。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]