[本文]

国名:
英国
公開機関:
ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)
元記事公開日:
2017/11/27
抄訳記事公開日:
2018/04/09
元記事の言語:
英語

カタパルト・ネットワークに関する第三者機関による2017年評価報告

Catapult Network Review 2017, independent report from Ernst and Young

本文:

ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)は2017年11月27日付でアーンスト・アンド・ヤング(EY)による標記報告書を公表した。報告の概要は以下のとおり。

● カタパルトとは?

カタパルトは政府が設立した技術拠点のネットワークで、大きなグローバル市場の可能性が存在し、英国がそれに対応できる重要な能力を保有する領域において、新興技術の商業化を目的としている。当初の意図は、主として研究と実用化の間の溝を効果的な方法で埋めるべく、市場での失敗に対処することであった。これにより、一般的には市場で利用できないインフラ、専門情報、機能へのアクセスが可能となり、企業、大学、研究界、政府が一体となって革新的なアイデアを新しい製品やサービスに転換することで、英国における経済成長を生み出すと期待された。

カタパルトは、独立の研究・技術組織として企画・設立され、Innovate UK(IUK)が所管しつつも、一定の距離を置いた民間セクター機関として運用するよう組織されている。カタパルトは英国企業のニーズに応え、各セクターが直面する課題や機会に対処するように構成されている。

カタパルトはIUKを通じて政府から予算を受け、各カタパルト内部の機能やインフラの開発・維持に充てる。これまで各カタパルトは、カタパルト新設に当たり5年間で5,000万ポンドの資金(年あたり1,000万ポンドのフラット・ファンディング)を受けている。5年後に後続の5年間の事業計画の承認を受けて助成更新の申請をする必要がある。現在7件のカタパルトが当初5年間の期間終了を迎え、更新の段階にある。これら7つのカタパルトは、高価値製造業、細胞・遺伝子治療、衛星アプリケーション、洋上再生可能エネルギー、デジタル、未来都市、輸送システムである。その他、エネルギーシステム、薬剤発見、化合物半導体アプリケーションの3つのカタパルトがある。精密医療カタパルトは途中で取りやめとなった。

● 指摘事項

カタパルト構想は妥当なもので、効果的に実装されればイノベーションを推進し英国に経済的利益をもたらす可能性がある。実際、イノベーション推進と英国経済への貢献に関する明らかなエビデンスがあった。しかしながら、評価の対象としたカタパルトに関して、また開始以来これらのカタパルトについて見てきたものをすべて考慮すると、カタパルト構想の実施には一貫性がなかった。イノベーション、経済的利益、資金の価値の実現において、はるかに大きなインパクトを得られていたかもしれない。そしてそれらは、構想の開始時点で想定された利点により合致したものになっていたはずである。以下にそうならなかった理由を列挙する。

・ネットワーク全体に適用され、戦略から実行計画を通じて成果の測定・評価に至るまで反映されるべき(簡潔で共通の理解に基づき矛盾なく伝達される)目標声明がカタパルトに存在しなかった。
・IUKのガバナンスが十分確固たるものでなかった。特に資金管理や成果管理に関しては、カタパルトの成果目標やより広範囲の目的が満たされていなかった場合に、タイムリーに関与したという証拠は限られていた。
・カタパルトが効果的な成果管理を行っていたという証拠は限られていた。
・各カタパルトは、各々が計画した運用モデルどおりにはファンディング・モデルの期待値を達成しておらず、依然として圧倒的に公的資金に依存している。
・利用可能なデータを使っても経済的効果を確実に定量化することはできないが、個々のカタバルトがプラスの経済効果を生み出していたといういくつかの証拠がある。特に高価値製造業カタパルトや細胞・遺伝子治療カタパルトの場合がこれに当たり、これらカタパルトでは英国の経済的利益を推進することに実行計画の重点を置いている。
・しかし広範に見れば、明確に述べられた一連の目標、又は効果および現行レベルの運用成果を測定する枠組みがカタパルト・ネットワーク全体として欠落しており、これまでのところネットワーク全体の効果が顕著であるとは言い難い。
・各カタパルト間の広範囲にわたる協力や、カタパルト・ネットワークの一員であることによって達成される一定範囲の相乗効果が有効に働いているという証拠は限られている。

● 提言

カタパルト・ネットワークが目標に従って行動し、英国企業に対する真の経済的利益を推進し、究極的には納税者への資金価値をもたらす体制を確保すべく、このネットワークに関するガバナンスを強化すべきである。

[DW編集局]