[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
下院科学・宇宙・技術委員会
元記事公開日:
2018/03/09
抄訳記事公開日:
2018/05/09

下院科学・宇宙・技術委員会による2019年度科学技術予算への考察と予測

Views and Estimates of the Committee on Science, Space, and Technology for Fiscal Year 2019

本文:

3月9日付け、米国議会下院の科学・宇宙・技術委員会(CSST)による標記記事の概要は次のとおりである。

下院CSSTは今年すでに第115議会でエネルギー省の科学技術予算に関する5法案を可決済みで、上院の判断を待つばかりである。

CSSTは研究開発に焦点を当てた総額420億ドルの連邦政府予算を監督する。傘下の政府科学機関法案を可決することにより、米国の連邦科学機関が科学知識や科学的発見において最先端の位置を保持できるよう優先順位を調整する。

特に、物理科学の基礎研究予算を増加したい。この分野は将来、科学界にブレイクスルーをもたらすポテンシャルが高く、それ故、新産業に利益をもたらし、米国企業の雇用機会を増大させるものである。米国の大学、研究機関は連邦政府の資金により基礎研究を行い、それを基に新しい発見やイノベーションが起こり、結果として、新しい会社、新しい産業、民間企業での雇用を生み出し、国の経済発展と安全保障に寄与することになる。

第115議会後半でCSSTは下記の政府機関とそのプログラムを審査する。すでに小委員会が公聴会を開始している。

米国航空宇宙局(NASA)
宇宙プログラムに商業インセンティブを期待; 2018年度予算レベルは維持;地球科学予算を削減する分、惑星科学、天体物理学、太陽系物理学研究に充てる;エクスプロレーション1と2を実行;商用貨物船・乗組員プログラムを支援、商用低地球軌道と月面ペイロード開発を支援

国立科学財団(NSF)
数学・物理科学局、コンピュータ・情報科学工学局、生物科学局、工学局に研究予算の70%を割り当て;NSFの助成プロセスの透明性と説明責任を確保;STEM教育の推進を引き続き支援

国立標準技術研究所(NIST)
研究施設整備費予算を増額;NISTのサイバーセキュリティ基準設定とガイドライン開発力を活用して、連邦政府機関監察室による政府情報セキュリティ・マネジメント法の下での政府機関の遵守状況評価を支援

エネルギー省(DOE)
競争的資金より、大学、DOE研究所の基礎科学研究に投資;基礎エネルギー科学、先端科学コンピュータ研究、高エネルギー物理学、核物理学、核融合エネルギー科学を優先し、生物・環境研究を削減;エネルギー効率と再生エネルギー研究開発費及びARPA-Eファンディングを削減;核エネルギー研究開発推進

海洋大気局(NOAA)
気象研究に1億3,150万ドル投資;商用気象データ・パイロットプロジェクトに600万ドル;新たに2,000万ドルの技術移転イニシアチブ;温暖化プログラムと気象衛星システムの削減で何億ドルもの節約

連邦航空局(FAA)
FAAの2019年度研究開発費1億7,400万ドルは、航空安全に資するため調整の必要あり;FAA商用宇宙輸送課には2,160万ドル

運輸省陸上輸送研究開発関係(Department of Transportation Surface Transportation Research & Development)
年間8千万ドルの技術プログラムは、年間2億2,500万ドルの高速道路研究プログラムからも拠出。後者の三分の一の資金削減により、将来に向けた革新的技術の開発が難しくなる。これは賢明ではない。

環境保護庁科学関係(EPA Science)
下院科学・宇宙・技術委員会議長スミス氏の「EPA公正・公開科学取扱法(HONEST)」にのっとって、EPA長官の案に沿って決定される。

国土安全保障省科学技術関係(DHS S&T)
科学技術局は迅速に危機対応できるよう内部組織の変革が必要;核探知局は核を使ったテロ対策のための研究開発を行うが、中身の精査が必要。

米国地球変動研究プログラム(U.S. Global Change Research Program-USGCRP)
多数の政府科学機関で行われており、機関間で重複している。精査の結果、重複又は無駄ではないと判断されたプログラムのみ継続。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]