[本文]

国・地域名:
中国
元記事の言語:
中国語
公開機関:
中国科学報
元記事公開日:
2018/01/11
抄訳記事公開日:
2018/05/18

10万人の中国人(56の少数民族を含む)のヒトゲノムとマルチ・オミックス参照データベース・分析システムを構築:ヒトゲノム研究や精密医療の進展がより期待

中国人类基因组研究有望“弯道超车”

本文:

2018年1月11日付の「中国科学報」ネット版は、「10万人の中国人(56の少数民族を含む)のヒトゲノムとマルチ・オミックス参照データベース・分析システムを構築」と報じた。本記事ではその概要をまとめる。

ハルビン工科大学による国家重点研究計画・精密医療研究重点プロジェクトのメンバーらが、プロジェクト実施から4年目で、10万人の中国人(56の少数民族を含む)のヒトゲノムとマルチ・オミックス参照データベース・分析システムを構築し、正式に運用を開始した。中国人独特のゲノム暗号をより正確に解読できることが期待できる。

中国人科学者により初めて実施された国家レベルのヒトゲノム研究プロジェクトであると、プロジェクト責任者のハルビン工科大学・生物情報技術研究院の王亚东院長は述べた。中国人10万人を研究対象として、ゲノム研究グループ、暴露研究グループ、表現型研究グループ、その他の研究グループらで、中国人独自のゲノム多型、集団多型・影響などについて調べ、中国人独自のゲノム多型地図を構築した。ゲノムワイド関連解析(GWAS)、一塩基多型(SNP)のために全ゲノムシーケンスをしたため、10万人規模の大量データ(10ペタバイト)処理の計算能力(2000万CPU時間)の拡張やアルゴリズム自体の開発も大いに工夫したとのこと。

これまでのゲノムデータや表現型のサンプルでは、西洋のデータやサンプルが多く、中国やアジアのサンプルが少ないため、データの解釈や医療・臨床開発などで苦労していた。また、中国では、大量のシークエンスデータと健康や疾患などの相関性を解析できる人材や技術者自体が不足しているものの、将来的には先端医療として国民の健康増進や疾病予防などへの寄与が期待される。

なお、国家重点研究計画・精密医療研究重点プロジェクトには、ハルビン工科大学以外にも復旦大学、中国科学院北京ゲノム研究所、華中科技大学、中国科学院上海生命科学研究院もプロジェクトを実施しており、プロジェクト全体で20の大学・研究所・企業から166名の専門学者がプロジェクトに参画している。

[DW編集局]