[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国立科学財団(NSF)
元記事公開日:
2018/05/01
抄訳記事公開日:
2018/05/28

連邦政府機関が連携してマイクロバイオーム研究の戦略計画を作成

Federal partners release Interagency Strategic Plan for Microbiome Research

本文:

5月1日付、国立科学財団(NSF)の標記記事の概要は次のとおりである。

NSFを含む23の米国連邦政府機関が省庁間のマイクロバイオーム研究戦略計画(目標、構成、各機関による研究の調整指針)の作成に参加した。計画は次の3点に焦点を当てる。

・ 学際的な共同研究を支援することにより、多様なエコシステムでのマイクロバイオームの機能を予知的に理解する。これにより、公衆衛生が促進され、食物・環境安全が改善され、新しいバイオエコノミー製品分野が発展する。
・ 鋭い洞察を生み出し、エコシステム全体で収集されたマイクロバイオームのデータへのアクセスおよび共有を改善するための基盤技術を開発する。
・ 教育の機会、市民科学、市民参加を通じて、マイクロバイオームに関わる人を広げる。

マイクロバイオームは広大なシステムのなかに存在する微生物の集合体である。これらの広大なシステムには自然の有機体(植物、動物、人間、昆虫など)も無機体(土、水、人工物など)も含まれる。微生物研究者はマイクロバイオームの重要性を知っていたが、最近の研究により、複雑な微生物の集合体が以前に考えられていたよりもはるかに広範囲に(人体から住居に至るまで)存在していることが明らかになった。

自然界のなかでのマイクロバイオームの重要な役割について更に分かってきた。人間、他の動物、植物は何種類もの微生物を持った「メタ有機体」であり、これらの発見をより良い社会のために活用できる可能性がある。マイクロバイオームは、人間の健康(慢性的疾患、医療の効果)や環境問題(クリーン・ウォーター、エコシステムの健全性、食料供給など)に関係している。

しかしながら、研究者はマイクロバイオームの特徴をとらえ、行動を観察することはできても、なぜそうなるかについて理解するための知見とツールがない。これを解消するためには、基礎科学、医学、健康、農学、環境などの研究を支援する関係機関間の連携が必要となる。生物科学や化学から、エンジニア、コンビュータ科学などの研究者による学際的研究も必要で、今回の戦略計画により、知見や専門性を共有しつつ、マイクロバイオーム研究を進めることができる。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]